チョコレートの祭典で人気を集める、北海道発の人気スイーツ。そのおいしさの裏側には、“環境”と向き合う北海道の農場の風景がありました。
人気ブランドが掲げる「おいしさの三原則」

ジェイアール名古屋タカシマヤにて、日本最大級のショコラの祭典「2026 アムール・デュ・ショコラ ~ショコラ大好き!~」が開催中。今年は過去最多となる約150ブランド、2,700種類のチョコが集結し、連日多くの人で賑わっています。
そのなかでも、行列必至の常連ブランドとして知られる「SNOWS(スノー)」、初出店ながら注目を集める「CHEESE WONDER(チーズワンダー)」は、どちらも北海道発のブランド。実はこの2つのブランド、人々を魅了する味わいの背景には、“環境”と深く結びついた共通のストーリーがありました。

これらのブランドを手掛けるのは、北海道を拠点とする菓子メーカー「北海道コンフェクトグループ」。札幌の洋菓子店「きのとや」など数々のブランドを展開し、和洋菓子ブランドの企画・製造だけでなく、牛乳や卵など原材料の生産まで自社で行っています。

お菓子作りで大切にしているのが、「おいしさの三原則」。フレッシュであること、手間をかけること、そして良い原材料を使うことです。この原則を追求する中で、おいしいお菓子作りのために酪農事業をスタート。その結果としてたどり着いたのが、環境への負荷が少ない「放牧酪農=環境再生型農業」でした。
循環型再生農場でCO2削減に貢献

環境再生型農業とは、生態系を壊さずに、畑や牧場などの環境を再生させながら、農業や畜産業を営む考え方。環境負荷を減らすだけでなく、土壌や生態系を豊かにすることを目指しています。
放牧酪農では、牛を牛舎につなぐことなく、昼夜を問わず自由に外を歩ける環境で飼育。牛が自由に歩き、土を踏み固めることで、土壌に刺激が加わります。さらに、ふん尿は土壌微生物によって消化され、土はより豊かに。こうして“良い土壌”が増えることで、牧草が多くのメタンガスや二酸化炭素を吸収・隔離する効果が期待できるのです。

北海道・日高町の放牧酪農場では、約32haの土地で80頭ほどの乳牛が自由に暮らしています。一般的な「つなぎ飼い」とは異なり、昼も夜も外で過ごすのが基本。
北海道大学とのモニタリングによると、この牧場では、毎年1haあたり11トンのCO2貯蓄、常時273トン/haのCO2貯留量があることが明らかになっています。273トンとは、1年間に自動車が排出するCO2の230台分と同等。牛1頭あたり毎年10トンのCO2を排出することから、牧場面積32haを誇る同牧場では、35頭分のCO2排出量をオフセット(相殺)できていることになります。
冬の放牧牛乳は生チョコと相性抜群!

放牧は環境だけでなく、味にも良い影響を与えています。自由に青草を食べて育った牛の生乳は、カロチンやビタミンが豊富。ほんのり黄色みがあり、あっさりしていますが、カスタードクリームやバターの加工には適した乳質となります。
この放牧牛乳は、グループ内すべてのブランドに使われているわけではなく、お菓子によって使い分けられています。

なかでも「SNOWS」は、“冬の放牧牛乳”のみ使用することから、冬季限定ブランドとして誕生。北海道コンフェクトグループ担当者によると、冬の放牧牛乳は特に濃厚で風味も良く、生チョコレートとの相性が抜群。「スノーサンド」や「スノーボール」など、SNOWSを代表する人気商品に冬の放牧牛乳が使用されています。
なぜ、CHEESE WONDERの生チーズは濃厚?

さらに、札幌市郊外の盤渓農場や新冠町の平飼い養鶏場では、「放牧酪農」と「平飼い養鶏場」を組み合わせた取り組みが行われています。

鶏には、グループのお菓子工場で出た商品にならないクッキーやケーキ作りなどで出たスポンジの端、イチゴのヘタなどを与え(食事の20%以内)、食品ロスの削減と栄養補給、卵の風味向上を同時に実現。

こうして生まれた卵と放牧牛乳を使ったのが、「CHEESE WONDER」の生チーズケーキだといいます。

「行列必至」、「限定商品」というワードについ関心を寄せてしまいがちですが、その一粒には、土や動物、環境と向き合う“環境再生型農業”のストーリーが息づいています。味わうだけでなく、素材づくりの背景に目を向けてみるのもおすすめです。


