人口減少や大型スーパーの出店などで客足が遠のいていた香川県の離島の商店街に再びにぎわいが戻りつつあります。閑散とした街に人を呼ぶその秘策とは。
迷路のような街に現れる「妖怪」の正体

香川県・小豆島。年間100万人が訪れる観光の島です。街へ繰り出す観光客を見ると、細い路地へと足を進めています。

土庄町「迷路のまち」は南北朝時代、海賊から財産を守るため、あえて複雑に作られた街並みです。その一角に突如、妖怪の絵が描かれた看板やオブジェが設置されています。さらに少し歩いたところにも発見しました。中には、妖怪に食べられた人がいます。

世界の1,000点以上の妖怪を題材にしたアート作品を集めた「妖怪美術館」。館長は小豆島出身の妖怪画家、柳生忠平さんです。
衰退した中心街を救った「分散型」の仕掛け

美術館内にある暗い部屋では寝転んでみると、天井の鬼とご対面。さらに特徴的なのが、しょうゆの倉庫や呉服屋の蔵など、4つの古い建物を活用し展示を分散。迷路のまちを彷徨うように巡る仕掛けにしてあるのです。

大阪府から来た観光客:
「街を回りながら探検しているようで、すごく面白かったです」

実はこの「迷路のまち」、もともと土庄町の中心街。1990年代までは賑わいましたが、近隣への大型スーパーの出店などを機に、人出が減りました。そこで妖怪美術館を仕掛けたのが、佐藤秀司さん。島のオリーブ加工品の販売などを手がける会社の社員です。
妖怪美術館 運営会社 小豆島ヘルシーランド 佐藤秀司さん:
「歴史ある『迷路のまち』という街並みとマッチしております。この妖怪文化を楽しみながら街歩き観光も楽しんでいただけます」
人出は5倍に!商店街に波及する経済効果

美術館は2018年にオープン。島の外やアニメファンを中心とする外国人の客。年間1万6,000人が、人口1万人の土庄町に訪れるようになりました。

外国人にもわかるよう、4カ国語に対応した音声ガイドを無償で提供しています。そうした客が街を巡る仕掛けにしたことで、商店街の人出は以前の5倍になりました。小豆島名物・そうめんの店でも来客数が増加。
そうめんや木箱 渡邊一雅代表:
「倍近くはちょっと変わる形にはなりますね」
和菓子店でも来客数が増えました。
池本芳栄堂 池本昌祐社長:
「大体1〜2割は増えています」

土庄町商工観光課 井口秀俊係長:
「商店街もかなり高齢化になっています。継続が危ぶまれているため、盛り上げてもらえるのはありがたいです」
宿泊客を呼び込む「ナイトミュージアム」と最新技術の融合

さらに、ナイトミュージアムという仕掛けもあります。バーも夜まで営業しています。日帰り客が多い小豆島に、少しでも宿泊してもらおうという狙いです。

日本経済新聞社 高松支局 岩田優羽記者:
「妖怪美術館は、にぎわいを街だけでなく島全体でも作り出そうとしています。島の閑散期である冬に観光客を呼び込もうと、2026年2月に開催した『YOKAI EXPO』というイベントでは、島外の妖怪ファンを中心に4,000人を集めました」

さらに今後は、バーチャル映像などを使った新たな展開を考えています。
妖怪美術館 運営会社 小豆島ヘルシーランド 佐藤さん:
「歴史ある妖怪の文化と最先端の技術、ITを使ったものを掛け合わせていくことによって新しい没入型の体験の仕組みや妖怪の魅力を高めていくことができると考えています」


