自民党と日本維新の会が今の国会で、成立を目指しているのが、「副首都構想」の関連法案です。両党は5月29日にも関係部会で原案について議論する予定です。副首都構想についてシリーズでお伝えします。
2025年10月に誕生した、自民党と日本維新の会の連立政権。このときの合意文書で掲げた政策の一つが『副首都構想』です。
高市早苗総理:
「首都及び副首都の責務と機能に関する検討を急ぎます」
2026年3月末には両党で、副首都構想に関連する法案の骨子案を取りまとめました。両党は原案について議論する予定です。そんな副首都にいま各地方が名乗りを上げています。この人も。
広沢一郎名古屋市長:
「副首都というのは、名古屋市としても全力で取りに行きたい」
しかし名古屋市民は。
Q「副首都構想、ご存じですか」
60代女性:
「わからないです。副首都…」
50代男性:
「そんなには知らない」
さらにはこんな勘違いも。
10代男性:
「何かのニュースの人が大阪が副首都になるとしゃべっていて、へーと思って見た」
まだまだ知られていない「副首都構想」。そもそも一体どんな構想なのか。名古屋が選ばれる可能性は?シリーズで徹底解説します。
副首都に期待される役割とは何?
「副首都構想」、詳しくは知らないという方も多いんじゃないでしょうか。解説していきます。そもそも副首都に期待される役割とは何か?政治と行政に詳しい、東京大学先端科学技術研究センターの牧原出教授に話を聞きました。大きく3つの役割があるといいます。
1つ目が、『首都機能のバックアップの役割』です。首都直下型地震などの災害が発生し、東京が大きく被災した場合、首都機能を他の場所に移す必要が出てきます。この構想では、副首都がその役割を担うということになります。
2つ目は、『災害救助や復興を指揮する拠点』としての役割です。例えば南海トラフ地震が九州地方で発生した場合には、東京とはかなり距離があります。災害救助や復興を指揮する拠点が、被災地に近いところにもあった方がいいという考えです。
3つ目は、『東京一極集中の是正』の役割です。東京は、企業の本社も多く、人口も過密状態です。地価も高騰しています。例えば、東京23区内で新築マンションを購入する場合、いくらかかると思いますか。
2026年の平均価格は、1戸あたり1億2498万円でした。1平方メートルあたりだと約190万円かかるんです。こうした東京への集中状態を、副首都という地方都市を発展させることで分散させようという考えです。副首都として認定された地域は、人の往来が増えたりブランド力が上がったりして都市の成長が見込まれるといいます。そのため、牧原教授は、副首都構想は「コストをかけずに日本の新しい国づくり」ができると評価しています。
副首都と大阪都構想は違う
副首都と大阪都構想について説明します。大阪都構想は『府と市の二重行政による無駄を省くこと』が主な目的です。大阪『市』を無くして東京23区のような『特別区』を作ることを目指しています。当初、大阪都構想の実現を目指す維新は、副首都の要件としても「特別区の設置」を求めていました。ただ、自民党内から「大阪都構想を念頭にしたものだ」などと批判の声も上がり、関連法案の骨子案では「特別区」の設置は必須とされませんでした。
この関連法案、政府は今の国会での成立を目指しています。27日明らかになったこの関連法案の全容では、総理を本部長とする推進本部の副本部長として担当大臣のポストを新設。法律の施行から1年以内に基本方針を策定するとしています。国の動きが加速する中、副首都の候補地として主に名乗りを上げているのは大阪、名古屋、そして福岡です。果たして名古屋が副首都になる可能性はどのくらいあるのか。2人の専門家に聞きました。
副首都に名古屋が選ばれるのか…専門家に聞いてみた
まず、東京大学先端科学技術研究センターの牧原出教授に聞きました。1番目に選ばれるのは大阪と指摘します。
東京大学先端科学技術研究センター 牧原出教授:
「大阪が選ばれない可能性はないと思う。国民感情としてそれはないんじゃないか」
さらに副首都が3つだった場合は、東京・大阪から遠方に配置することが予想されるため、名古屋が選ばれる可能性は低いといいます。しかし!
東京大学先端科学技術研究センター 牧原出教授:
「3つを越えた副首都の認定となれば名古屋は有望。首都機能をしっかりと果たすという面では大阪よりも名古屋ははるかに『利便性が高い。リニアが動き出すと東京と名古屋が数が近くなり、有利性が高まる』名古屋には非常に大きな可能性があると思う」
一方、経済的な視点で副首都を考えるのは、日本総合研究所の若林さんです。
日本総合研究所 若林厚仁上席主任研究員:
「名古屋は選ばれるとしたら1番ないしは2番。東京からの距離や経済規模という意味では条件は十二分に満たしているし、首都直下地震と南海トラフが同時に見舞われず補完的な関係にあるともいえるので候補として有力」
副首都となった場合の経済的なメリットについては。
日本総合研究所 若林厚仁上席主任研究員:
「制度設計はこれからだが国の資金が副首都に流れ、地方の成長に使われる。経済的なインパクトとしては、数百億から数千億円規模の経済効果が場合によってはでてくる」
ただ、期待される経済効果が大きいだけにこんな意見も。
日本総合研究所 若林厚仁上席主任研究員:
「名古屋、大阪はある程度自立しているし、ほっといても成長できる都市。そういったところを考えると思い切って別のエリアを副首都に指定するとでそこの成長をけん引していくことも日本全体で考えたらありなのかな」


