2022年1月、新型ロケット「アルテミス1」が打ち上げられました。今、アメリカや日本、EUなどが参加して、月面探査や月面基地の建設などを進める「アルテミス計画」が進行しています。
そこで必要となるのが「食糧」です。空気も水もない月面でどうやって野菜をつくるのか。そのヒントが日本にありました。
千葉大学の最先端の植物工場では、月面と同じ環境で野菜を育てることに成功したのです。目指すのは地産地消ならぬ「月産月消」。その驚きの研究内容について、千葉大学教授の後藤英司さんに話を聞きます。
月面施設
――そもそも月でも野菜は育つのでしょうか。
今までの研究から考えた場合、月面の重力は地上の6分の1と、少し低くなっていますが、植物を育てることに特に問題はないだろうと考えています。地上の栽培システムを月面に持っていけば、育てることが可能だと思います。
――システムの研究は、現状どこまで進んでいる状況なのでしょうか。
千葉大学では、月面を想定した模擬的な施設をつくっています。その中で、月面の植物工場を想定した模擬施設になっており、いろいろなランプのもとでレタスやイチゴ、トマト、パプリカなどを育てる研究をしています。
――月と地球で違うのは空気や水がないことだと思いますが、地球の施設と似たような形をつくり、月に持っていくイメージなのでしょうか。
そうです。ただし、月面には空気がないので、最初は地上から空気や水、肥料を持っていき、育てることを開始する必要があります。その密閉した施設で、空気や水をリサイクルしながら循環しながら、大切に使っていくことを考えています。
――これは、月のどの部分に建設する予定なのでしょうか。
月には太陽からの放射線等も降り注いでいるので、温度変化が少ない地下に居住施設とあわせて、植物の工場をつくることが考えられています。
研究のカギとなる「LEDランプ」
LEDのランプ
――どのような野菜でも、施設で育つ見立てになっているのでしょうか。
皆さんがスーパーで購入しているような、レタス類は既に地球上でも農業生産されていますが、イチゴやトマトやパプリカは、ガラス温室で太陽のもとで育てられます。それを植物工場で育てるためには、LEDランプのもとで育てる研究をする必要があります。
――イチゴやトマトなどは、まだ地球上の工場でのLEDランプによる栽培はできていないのでしょうか。
商業生産として皆さんがスーパーで購入するところまでは、まだ技術が確立されていません。ただ、大学内の研究では育てる研究が進んでいます。
――その研究のポイントとなるのがLEDでしょうか。
LEDのランプは、青色の光を強く出す種類や赤色の光を強く出すものなどがありますが、例えば赤色の場合は、早く花をつけて実をつけることを促進する効果があります。一方、青色の場合は、葉っぱや果実のポリフェノールなどの機能性成分をたくさんつくらせる効果があります。これを組み合わせて、イチゴやトマト等をうまく育てていくことが現在開発中の内容になります。


