副首都構想についてシリーズでお伝えしています。東京の一極集中が進んでいますが、今に始まった問題ではありません。約30年前、東京への一極集中を打破しようと、この地方に首都機能を移転する計画がありました。
30年前にあった「幻の首都機能移転計画」とは?

2025年10月に誕生した自民党と日本維新の会の連立政権。この時、合意文書で掲げた政策の1つが副首都構想です。その副首都に名乗りを上げた自治体は、大阪、福岡だけではありません。名古屋もそうなのです。

名古屋市 広沢一郎市長:
「副首都というのは、これは名古屋市としても全力で取りにいきたい」
名古屋市の広沢市長が、副首都を取りにいくと明言したのです。

実は今から約30年前、この地方には幻の首都機能移転計画がありました。名古屋から車で約1時間の距離にある愛知県豊田市。豊田市や岐阜県の一部、そして猿投山観光展望台から見える一帯が、約30年前に首都機能移転の候補地となった場所です。

今から約30年前、この場所に国会をはじめとする国の中枢機能を移転する動きがありました。候補となっていた場所は、愛知県西三河地域の北側と岐阜県の東濃地域にまたがります。その面積は約2000ヘクタール、バンテリンドーム ナゴヤ400個分を超える広さです。

首都機能移転を巡っては、東京一極集中の是正などを目的に、1990年頃から議論が本格化。岐阜・愛知地域、栃木・福島地域、三重・畿央地域の3つに絞られました。しかしその後、国会での議論はまとまらず――。

岐阜県 梶原拓元知事:
「誠に嘆かわしい」
愛知県 神田真秋元知事:
「国会の方でそういうスケジュールを決められたのであれば、きちんとなされるべきものだと思う。その意味では遺憾だと思っている」
さらに、首都機能移転計画に待ったをかけたのが元東京都知事です。
東京都 石原慎太郎元知事:
「そんなものは世間が許さないよ、ばかばかしい。8割以上の国会議員というのは全然関心がないし、今頃そんなことやっているのって話だから。国全体の利益を考えれば、そんなものは国民が許すことじゃないですよ」

当時の石原知事は首都機能移転を、将来の大きな負の遺産になると切り捨てます。その後、移転への機運が失われていき、計画は事実上の凍結となりました。あれから月日は流れ、東京一極集中の是正などを目的とした議論が、首都機能移転から副首都構想へと形を変えて浮上しています。
広沢市長に単独インタビュー「なぜ名古屋が適しているのか」

その副首都に意欲を示したのが、大阪、福岡、そして名古屋です。なぜ名乗りを上げたのか。番組では広沢市長に単独インタビューしました。

名古屋市 広沢市長:
「この副首都、趣旨からしまして、首都圏が災害にあったときの臨時の首都的なバックアップ機能、これが1つとですね。あとは、東京一極集中を是正するための多極分散型の国づくりという、そういう側面もあるかと思います。どちらにしても、名古屋というのは日本中見渡してもこれほど適した場所はないのではないかというくらいに思っておりますので、ぜひここには手を挙げていきたい、取りにいきたい、そのように考えています」

――具体的にどういったところが適しているとお考えですか?
名古屋市 広沢市長:
「首都圏の災害時の観点から言いますと、復興にあたる時期でもありますので、当然東京に頻繁に行くことになる。そういう観点からしますと、名古屋は大都市圏の中では比較的東京に近い」

さらに、副首都になれば経済効果も期待できます。その経済効果について、日本総合研究所の若林厚仁さんは、場合によって数百億から数千億円と指摘します。

名古屋市 広沢市長:
「いろいろな投資が行われることも、この街の活性化につながるだろうと期待しています。すでに名古屋と言えば、当然三大都市圏としては知れ渡っておりますし、十分な知名度はあるわけなのですが、そこにまた副首都というタイトルが付くと、また格が上がることにもなるのではないかと期待しています」
懸念される「南海トラフ地震」への影響は?

ただ、この地方で懸念されているのが南海トラフ地震です。この影響について市長は大丈夫だと言います。
名古屋市 広沢市長:
「今回は、首都が災害にあったときのバックアップ機能が第一義なので、同時に被災する可能性があるかないかなんですよね。要は首都圏で危惧されている首都直下型地震の影響が及ばない観点から言うと、南海トラフと同時に起きる可能性は高いとはいわれておりませんので、そこは大丈夫なのではないでしょうか」
鍵を握る「愛知県と名古屋市」の連携

ほかにも課題があります。それは県と市の連携です。ライバルとなる大阪は、大阪都構想を掲げ、府と市が強力なタッグを組んで副首都の指定へ突き進んでいます。この地方でも、かつて愛知県と名古屋市が一体となる中京都構想の計画がありました。共同公約に掲げてそれぞれの選挙戦に勝利したのが、名古屋市の河村たかし前市長と愛知県の大村秀章知事です。しかし、徐々に路線の違いが表面化していき、その後、計画は立ち消えとなりました。果たして今回はうまく連携できるのでしょうか。

名古屋市 広沢市長:
「副首都に関しては、私も大村知事とお話をしていますし、一緒に共同歩調でやっていければという風に思っていますし、県からもそういうようなご意向をいただいていると思っています。我々も決して名古屋だけがよければいい、そういう考えで進める気はありませんので、いろいろな方が『三方よし』ではないですけども、ちゃんと納得できて『それならいいね』という形で進んでいければなとは思っていますね」

名古屋市は、広沢市長をトップとする会議体を4月新たに発足させ、ほかの都市の動きや国の出先機関の状況などを調査。副首都の指定に向けた準備を加速させています。
名古屋市 広沢市長:
「名古屋という地は、今、国が考えている副首都、これにこれほど適した地はないという風に心から信じていますし、ちゃんとそれを説明するだけの材料がありますので、これをしっかりと訴えて、取りにいきたい」
自民党と日本維新の会は今の国会で副首都構想の関連法案の成立を目指しています。今後、副首都がどこになるのかも含めて注目が集まります。


