生きたうなぎは約9割・加工品はほぼ100%を中国から輸入 「ワシントン条約」でどうなる?輸出入の規制で流通量減少に価格高騰の懸念も

今月14日、愛知県西尾市一色町にあるうなぎの養殖場を訪ねました。約20万匹のうなぎを育てているといいますが…
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(一色うなぎ漁業協同組合 田中三千雄組合長)
「メスのうなぎですね。今まではうなぎを養殖場で育てると、ほとんどがオスになっていたが、大豆イソフラボンを細いうちに与えると、メスになることが分かった」
実は、うなぎは稚魚の時にはオスかメスかは決まっていませんが、養殖場の池で育てると、ほとんどがオスになります。しかし、女性ホルモンと似た働きをするとされる「大豆イソフラボン」を含んだエサを与えることで、9割がメスのうなぎになることが愛知県などの研究で分かりました。
「1匹のうなぎから2食分を」
(松本道弥アナウンサー)
「立派ですね。これが”艶鰻”ですか。大きくて身が分厚い」
メスはオスに比べてサイズが大きく、脂のりが良いのが特徴。一色町では、去年8月から地元産のメスうなぎを「艶鰻(えんまん)」というブランドで売り出しています。
(田中組合長)
「平均すれば250グラムくらいで出荷する。シラスウナギの資源が枯渇してきて、1匹のうなぎから2食分のうなぎを作ろうと。太くなれば2人前取れる」
一方、うなぎを巡ってはこんな懸念が…
(田中組合長)
「ワシントン条約に上提されて可決されると、うなぎの輸出入に関して規制がかかる」
野生動物の国際的な取引を規制する「ワシントン条約」。EUはことし6月、日本国内で多く消費される「ニホンウナギ」を含むすべての種類のうなぎを規制対象に加えるよう提案したのです。そして、11月24日から締約国会議がスタート。3分の2以上の国が賛成すると、将来うなぎの輸出入は許可制になり、市場での価格上昇などが懸念されます。
「流通量はかなり減少するだろう」
うなぎの生態系に詳しい専門家は…
(中央大学 海部健三教授)
「もし輸出の規制がかかって輸出されないということになれば、日本においてうなぎの流通量はかなり減少するだろうと考えられる」
海部教授によると、現在日本で流通するうなぎの大半は、中国を中心とする海外からの輸入に依存していて、ワシントン条約で取引の対象となると、その影響は計り知れないといいます。
日本におけるうなぎの輸入元は、生きたうなぎは約9割が中国。加工品については、ほぼ100%です。もし、その中国が輸出許可を出さなかった場合、どうなってしまうのでしょうか?
(大石邦彦アンカーマン)
「日本のうなぎのさまざまな団体、うなぎ屋さんも含めて、(国際取引が)規制されてしまったら、商売あがったりだと思う。日本のうなぎ業界に多大な影響が出ると思いますか?」
「消費が冷え切ってしまうことが心配…」
(海部教授)
「いくつかのタラレバが重なった場合が前提になるが、例えば安く提供されているうなぎが流通しにくくなるようなことが起こっても、おかしくないのではないかと思う」
水産庁に聞くと、国内のうなぎ養殖においてシラスウナギの稚魚は半数以上が輸入に頼っている状態。規制されると価格の高騰は避けられません。
一色町の田中組合長は、こんな心配も…
(田中組合長)
「当然(価格は)高くなる。ワシントン条約にのっているものを食べてもいいのかということで、消費が冷え切ってしまうことが心配」





