「プロレスラーになってお客さんに勇気を」 原因不明の難病を乗り越えた小学生 夢への第一歩“リングアナ”に挑戦! つらいリハビリを経てリングへ…
常設リングがある名古屋・中区のスポーツバー「Sportiva Arena」で、プロレスの試合が行われていました。選手紹介のコールをするためリングに立ったのは、三重県津市に住む上地大誠(うえちたいせい)くん、なんと12歳の小学生! 実は、大誠くんがリングアナを務めるまでには、大変な道のりがあったのです…。
小学生がリングアナに! “血管障害”大病からの挑戦
10月、三重大学医学部付属病院の脳神経外科で、診察を受ける大誠くんの姿がありました。
大誠くんは去年5月、突然、激しい頭痛と吐き気に襲われ、病院に運ばれたのです。病名は「非もやもや病小児閉塞性血管障害」。難病指定されている血管がつまる病気で、現代の医学でも原因不明。非常に珍しい病気だといいます。
主治医 北野詳太郞医師:
「(血管が)途切れ、つまりかけているのが、こういった状況になります。彼の場合は手足と口の動きが悪くなるところ(の血管がつまり)脳梗塞になった」
脳梗塞になり、右半身に麻痺が残った大誠くんの生活は一変しました。学校に行けず、友達にも会えない毎日…。
母・早紀さん:
「外で遊ぶのが好きで、小学校低学年のときは帰ってきたらすぐ出かける子。遊ぶ約束しなかったら泣きわめくような元気な子でした。みんなとやりたいことも一緒にできないことがいっぱいあって、それを見たときに(母としては)何回も悔しくて涙も出ました」
落ち込む日々にある転機が。プロレスファンの大誠くんのために、知人を通じてレスラーのアンディ・ウーさんがお見舞いに来てくれたのです。その後、プロレスの試合に招待され、おそろいのマスクでリングに立つと、自然とこう願うようになりました。
「プロレスラーになってアンディ・ウーさんとタッグを組む」
大誠くんは、願いを叶えるためリハビリに励みました。最初はボール投げもうまくできませんでしたが、諦めずに何回もトライ。右手に麻痺が残るため、食事をとるのもリハビリの一環です。
懸命なリハビリによって、今ではスパーリングができるほど回復。学校にも戻ることができました。
上地大誠くん(12):
「突然病気になって、いろんなことがあったけど、アンディ・ウーさんに勇気をもらったから、プロレスラーになってお客さんに勇気(を与えたり)そういう気持ちにさせたい。リハビリはきついけど、プロレスラーになりたいからがんばりました」
そんな大誠くんに名古屋の団体から「リハビリ中の今は練習に参加できないけど、プロレスに関わることはできる。リングアナとして選手紹介をしてみないか?」と声がかかりました。
緊張の面持ちでリングに上がる大誠くん。うまく選手を紹介することができるのでしょうか…?
上地大誠くん(12):
「本日のメインディッシュ、30分一本勝負を行います! 青コーナー、ジ・インテリジェンス・センセーショナル・グランドパッションマスク4号!」
なが~い選手名もしっかり読み上げました! 堂々としたリングアナぶりです。
上地大誠くん(12):
「リング上の景色や観客の拍手とか受けて、かんでも笑ってくれたり拍手してくれたり、温かい声援がプロレスラーの源になるんだなと思った。プロレスラーへの道の第一歩は進めたと思います」
プロレスラーになるという夢を叶えるために、つらいリハビリもがんばった大誠くん。アンディ・ウーさんとタッグを組む日も、そう遠くないのかもしれません。