コロナ禍後の外国人宿泊者数“回復率”ワーストは三重県 老舗旅館は県の補助金で和室→“和洋室”に 5か国語操るスタッフも

去年1年間に日本を訪れた外国人観光客の数は過去最多を更新し、インバウンド需要は高まりをみせています。
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しかし、2019年と去年の外国人宿泊者数を比較し割り出した回復率は、三重県が全国ワースト!コロナ禍前の6割ほどにとどまっています。
また、愛知は30位で岐阜は24位。東海3県いずれも回復が鈍っています。
10年前、2015年の鳥羽市のミキモト真珠島は、多くの外国人観光客で賑わっていました。しかし25日の外国人観光客の予約はゼロでした。
(ミキモト真珠島 石川愼吾さん)
「(外国人観光客の数が)ことし1月~6月は、2019年度比で98%の回復率。まだ100%に満たしていない。一施設でインバウンドを一気に増やそうというのは無理な話。三重県と一緒になって協力しながら誘客(を図りたい)」
こうした状況を受け、三重県は…
県から補助金 老舗旅館はインバウンド仕様に
(三重県観光部 観光振興課 中川千也課長)
「インバウンドをはじめとして誰もが快適に三重県の観光を楽しんでもらいたい。受け入れる宿泊施設・観光施設の整備を整えるのを支援させていただきたい」
そこで伺ったのは、鳥羽市にある創業195年の老舗旅館「戸田家」。補助金を使って部屋をリフォームする計画です。和室をこれからインバウンド仕様にすると言います。
(戸田家統括支配人 加藤直広さん)
「畳の部屋が洋室ベッドルームになって、和室を“和洋室”にする」
三重県はインバウンドの受け入れに向け、宿泊施設の部屋を和室から洋室に変更するなどの整備に対しても、補助金を出します。
(加藤さん)
「リニューアル後の部屋のイメージになります。床は畳ではなく籐(とう)をあしらったフローリング形式に、壁紙も今風に張り替えてデザインした」
“インバウンド”などの対策に補助金は総額5億5千万円
三重県が今年度インバウンド誘客とバリアフリー化などに出す補助金は、総額で5億5千万円。募集は6月に締め切られましたが、鳥羽市の戸田家をはじめ、県内24か所の宿泊・観光施設が採択事業者に選ばれました。
部屋のリフォームのほか館内のトイレを洋式にしたり、施設内に外国語表示を増やすことなど、外国人へのおもてなしを充実させる対策にみなさん取り組んでいます。
(加藤さん)
「(完全に)洋室にしないのは、和のテイストを残して日本の文化を楽しんでもらいたいので」
戸田家では、2年ほど前から少しずつ和洋室化を進めていて、今回の補助を受けて、さらに14の和室を和洋室にリフォームします。
5か国語を操るウズベキスタン人スタッフ
フロントスタッフは15人中6人が外国出身者で、ウズベキスタンから来日したラフモンさんは。
(ウズベキスタン人スタッフ アブドゥラフモンさん)
Q:何語が話せますか?
「5か国語。ウズベク語、ペルシャ語、ロシア語、英語、日本語が話せます」
ネパール人スタッフも。
(ネパール人スタッフ クリスナさん)
「ネパール語、インド語、英語と日本語。いろいろな国の人が来るので、コミニケーション取りながら仕事をする」
外国人観光客の受入れ体制を整える戸田家。三重県の現状に寺田社長は…
(戸田家 寺田順三郎社長)
「残念ながら三重県はそんなに多くのインバウンド宿泊客がいるわけではないが、受け入れる体制としてどのような部屋がいいのか検討して、和洋室というベッドを入れた部屋がいいだろうと。少しでもそれ(外国人観光客の増加)に尽力できれば」