
総勢約100人の医療チームが支える 名古屋の“どまつり” 200万人以上が熱狂!台本~前説まで運営主体は学生

最高気温40℃、200万人が熱狂した名古屋の「どまつり」。その裏には、夏の一大イベントを支える人たち。そこには知られざる努力とアツい思いがありました。
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8月29日(金)~31日(日)の3日間、名古屋市内14会場で同時開催。日本最大級の踊りの祭典「第27回 にっぽんど真ん中祭り」。国内外から集まった212チームがコンテストを繰り広げ、3日間の来場者数は200万人以上。
(観客)
「13年くらい連続で来ています」
「夢中になりますね」
(踊り手)
「何歳になっても学生の時みたいな“青春”を思い出させてくれる場所」
「これは若返るための祭り。若人と一緒に踊りまくって若返るの!」
「どまつり最高~!」
踊り手も観客も一体に。例年は、夏の終わりを告げる風物詩として知られていますが、異常に暑かった今年の夏。3日間は良くも悪くもカンカン照り。最終日の名古屋は最高気温40℃。全国一の酷暑となりました。
総勢約100人の医療チーム「SECDEM」
そんな中…
(愛知医科大学病院 災害医療研究センター 津田雅庸教授)
「こういったイベントの災害救護は、ある程度のノウハウやみんなのスキルが必要」
会場各地にスタンバイ。総勢約100人の医療チーム「SECDEM(セクデム)」。2006年から、どまつりの救護に参加し、熱中症などの救急搬送者数を大きく減らしました。
(総合大雄会病院救命救急センター 井上保介顧問)
「今は『熱中症アラート』を当たり前にやっている。“どまつり”は1~2年前から同じように警戒情報を流しているので、国の熱中症アラートよりウチは先」
気温をリアルタイムで把握するため、栄エリアの各ステージに特別なサーモセンサーを設置。暑さが特に危険な場所には、スタッフを集中的に配置しました。
さらに、踊る前に厳しいメディカルチェックと水分補給を徹底。
そして、観客にも水遊びをしながら涼をとれる、ウォーターフェスを開催するなど万全の対策をとりました。
気付いたら“熱中症”に
しかし、気温40℃の炎天下では…
ジュニア部門で金賞を狙う、福岡県から初参加のチーム「美勝女隊」。コンテストの演舞直後、メンバーの12歳の少女が“熱中症”で倒れてしまいました。
冷房の効いた部屋で直ちに適切な処置が行われ、母親もすぐに駆けつけます。20分ほど安静にしていると、笑顔が戻りました。
(美勝女隊メンバー・庄崎美結ちゃん 12歳)
「最初は踊っていて気付かなくて、歩いていたらちょっとふらっとして、ここに来た。それまでの意識はあんまり無かった」
救護室で休んでいると、結果発表の時間に…
見事、美勝女隊がジュニア部門金賞を獲得しました!
一世一代の大勝負に無理をしがちな「どまつり」。幸い倒れた少女もすぐに回復し、その夜のステージも元気に踊り切ることができました。
3日間で患者数65人、救急車の要請6件
続いて運び込まれたのは、60代の女性。ステージに出る娘の付き添いで、この方も熱中症になってしまいました。
(津田教授)
「低いですね、血圧が少し。もともと血圧のお薬も飲まれているくらい、血圧はしっかりと高い方」
「80しかないね血圧。病院に搬送しようか」
念のため救急車を呼ぶことに。この女性も搬送先の病院で、約2時間の治療を受け事なきを得ました。
今回の3日間、医療チームが対応した患者数は65人。救急車の要請は6件。異例の暑さの中、この数字は去年とほぼ変わりませんでした。
(救護を受けた人)
「裏方の皆さんがいるおかげで、僕らは気持ちよく踊れているので非常に感謝しています」
「最高すぎます。もう本当に申し訳ない。早かった。優しいみんな。ありがとうございました」
運営の主体は学生委員会!
酷暑のどまつりを支える重要な裏方チームはもう1つ。
受付やゴミ処理など、会場のあらゆる業務を行う学生ボランティアです。実は「にっぽんど真ん中祭り」は、もともと学生が立ち上げたイベントで、規模が大きくなった今でもその運営主体は学生委員会です。
(学生委員会・会長 村田郁也さん)
Q.踊りは見た?
「見ていないですね。もう今は、とにかく成功して終わらせようと」
(学生)
「台本は私たち学生が全部書いている」
「1か月ちょいかけて、10回20回くらい打ち合わせして作り上げたもの」
さらに、本番数日前には公園で練習。各チームを紹介する前説も学生です。
(学生)
Q.練習はどれくらいやっている?
「8月に入ってからは週5回」
「この日のために、全力でぶつかってくるチームの思いを届ける。そのチームを立たせられるようなMCを目指して頑張っています」
多くの人たちが支える“どまつり” 「裏の魅力も伝われば」
学生チームの思いの上で成り立つどまつり。今年も無事にプログラムは進行し、どまつり大賞に選ばれたチームは名古屋市の「kagura」。
夏の一大イベントが無事終了しました。
(津田教授)
「仮にこういうところで死亡事故や熱中症が続いてしまうと、このイベント自体の継続が難しくなるかもしれないので、そういったことにならないように、われわれが手助けできたらなという思いで、これからも一緒にやっていけたらと思います」
(学生委員会 村田さん)
「これで『どまつり』の魅力が少しでも伝わったら、“裏の魅力”も伝わったら、すごく良いなと思います!」