名古屋市と愛知県尾張旭市、春日井市を結ぶ「ゆとりーとライン」。開業当時は国内で他に例のない「新たな交通システム」として注目されましたが、あれから25年。いま、そのあり方が問われています。
3連休明けの3月23日朝、通勤・通学する人たちで混雑する名古屋の大曽根駅で配られていたのは、開業25周年を迎えた「ゆとりーとライン」の感謝の記念品です。
2001年に開業した「ゆとりーとライン」。
春日井市・尾張旭市方面から名古屋市内へ向かう一般道路が混雑することから、専用レーンを採用し、”渋滞に巻き込まれない”公共交通として登場しました。
一見、普通のバスに見えますが、その特徴は…
車体の下のほうに取り付けられた4つの「案内装置」。
この装置が”ガイド”となり、「専用レーン」をハンドル操作なしで移動することができます。
名古屋市東区の大曽根駅から守山区の小幡緑地駅の間の専用レーン区間の所要時間は13分ほど。一般道の半分以下です。
そのダイヤを守る心臓部の運転指令室に、カメラが潜入。
「365日体制でバスの運行を常にチェックしていて、必要に応じて指示を出す部屋になります」(名古屋ガイドウェイバス 総務課 加藤貴英 課長)
駅ごとに設置されたカメラで車両の位置や遅れを確認する様子は、まるで鉄道の運行のようです。
「新たな鉄道を整備するほどの需要はないけれど、一般道の混雑は回避したい」。
そんなニーズに対応した、鉄道とバスの”いいとこどり”のシステムとして、日本で唯一、ここだけで運行されています。
増便にはハードル

その出発から25年。利用者に話を聞いてみると、口々に出たのが「混雑」という言葉。
開業当時の「ゆとりーとライン」の利用者は1日あたり5300人ほどでしたが、周辺地域の人口増加にともない、2024年度は約1万1700人にまで増えています。
利用者が増えるのは嬉しいことですが…。
「特に朝と夕方のラッシュ時は大変混みあっている。安全・安心に運行が継続できるように日々対策を考えている」(加藤課長)
朝のラッシュ時には2分から5分間隔で運行していますが、1台のバスに乗れる人数は70人ほど。その輸送力が課題となっています。
さらに、混雑解消のための増便にもハードルが…。
「案内ローラーは一般のバスを改造して作った特別なもので、私どものほうで使っているものが唯一のもの。メーカーも限られているので、製造が非常に困難な状態になってきている」(加藤課長)
自動運転を検討も…

専用レーンを走るのに必要な「案内装置」。
一部の部品メーカーが製造をやめてしまったことなどから、新たに作ることが難しい状況に。
車両の追加や更新に対応できず、今後の運行に支障が出る可能性もありますが…。
「バスの製造が途絶えることがないように、自動運転による代替ができないかどうかや、国内で同じようなものを作るメーカーがないかどうか、さまざまな角度から検討しているところです」(加藤課長)
名古屋市は「自動運転」でバスを走らせることも検討していますが、今後の方針は示されておらず、利用者から不安の声もあります。
「竜泉寺の方は公共交通機関で行く方法がない。ゆとりーとラインがなくなったら、職場に通う方法がなくて仕事をあきらめざるをえない。なくなってほしくない」
利用者にとって大切な公共交通をどう守っていくのか。模索が続いています。
「公共交通機関を続けていくことが最大の使命だと思っているので、さまざまな課題はあるが、この先の25年も運行が安全に継続できるように努力していきたい」(加藤課長)


