震度7の揺れが襲った熊本地震では、今も多くの人たちが避難生活を続けています。東海地方の私たちにとっても人ごとではない、災害時ならではの課題も見えてきました。

7月28日夕方、熊本県を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生しました。
「震度7を観測した宇城市です。道路一面ががうねるように割れてしまっています。そして奥をみると、比較的新しい家ですが完全に傾いてしまっています」(記者)
特に揺れの大きかった地域では、住宅や神社をはじめ、建物の倒壊が相次ぎました。
道路も隆起したり、亀裂が入ったりするなどの被害も出ました。
メ~テレのクルーが取材中にも。
道路の亀裂にタイヤがはまってしまったようで、記者が亀裂のすき間に土のうを入れ、再び車を押すと――。
車は無事に脱出することができました。
発災から1週間、被災地は各所で行列

さらに――。
「イオンモール熊本」では、地震発生の1時間半後にガス漏れが原因とみられる爆発が起き、専門店の従業員7人が亡くなり、26人がけがをしました。
発災から1週間、被災地では各所で行列ができていました。
炎天下の中、水を求める人や罹災証明書を求める人たち、さらに――。
「避難所の前の受付では、多くの人が洗濯物を持って列をつくっています」(記者)
地元のクリーニング店も協力して、被災者の洗濯を手伝う支援です。
被災者支援の手は、東海地方からも

支援の手は、この地方からも。
こちらはトイレからシャワー室、大型シンク、洗濯機まで水回りを一括したユニットです。
愛知の企業が開発しました。
「多くの人の生活を助けて、災害関連死ゼロを目標にやっていきたい」(開発担当 山口清之さん)
また、家屋の倒壊被害が多かった氷川町では、名古屋から届いた簡易住宅、「インスタントハウス」の建設が始まりました。
自宅を離れて車中泊をする人は…

熊本地震後、避難所の駐車場などでは、自宅を離れて車中泊をする人も出てきました。
「飼っている猫が地震後にいなくなり、きょう、家の押し入れで見つけたので。きょうから車中泊です。やっぱり暑いですよね、今は特に。車のシートを倒して寝るしかないですね」(被災した人)
Q.エンジンは?
「エンジンはかけないで、なるべくガソリンは使わないように」(被災した人)
Q.我慢しながら?
「ですね」(被災した人)
実は、10年前の熊本地震でも。
「寝泊りは車です。寒いです」
「きちっとフラットにはならないので疲れます」
車中泊は、避難所に比べてプライバシーを確保できることやペットと同伴、あるいは小さい子どもがいることを理由に避難生活の手段の一つとして選ばれています。
「40℃超え」避難生活は暑さとの戦い

ただ今回は、熊本で3日に最高気温40.3℃を観測するなど、避難生活は暑さとの戦いにもなりました。
実際、車中泊をしていた70代の女性が熱中症の疑いで亡くなりました。
愛知県の避難所を訪ねてみると、被災者の生活環境の整備には限界がありました。
クルマの町、愛知県豊田市は車中泊のハンドブックをつくっています。
冊子には避難先として車中泊を選択した場合の車内の環境づくりや、健康面での注意点などが書かれています。
車中泊に適した車内環境を考える取り組み

市の担当者に車中泊に適した車内環境をつくってもらいました。
運転席を倒して、フラットにしていきます。
ここで重要なポイントが――。
「バッグは足元に詰めます。毛布などもあれば、フラットになるように(置きます)。エコノミークラス症候群を防ぐためです」(豊田市 防災対策課 吉野翼さん)
足をまっすぐ伸ばせると、血液が足にたまりにくくなるといいます。
その上で、シートの上にクッションを敷いたり、腰の部分にタオルを挟んだりするだけでも、寝心地が良くなります。
また、夏の時期は熱中症への警戒も大切です。
「夏で暑いので、こまめな水分補給が大切。クーラーも有効活用してほしい」(吉野さん)
南知多町の「師崎避難所」の様子は…

真夏の厳しい暑さの中で強いられる避難生活。
熊本では、地震当日の夜、停電や壁の崩落などにより、一部の避難所を開設することができませんでした。
この地方の避難所は、どうなっているのでしょうか。
「非常用の発電機ですね。だいたい30~50時間は災害時にもつようになっている」(南知多町 防災交通課 戸田竹彦さん)
愛知県南知多町で、高台にある「師崎避難所」。
元々宿泊施設だったため、600人程度収容することができます。
水道、クーラーの整備に手が回らない

3日分の食料品なども備蓄されていて、いつ災害が起こっても機能しそうですが――。
Q.薄暗いですね
「普段使っていない施設なので、節電のため暗くしています」(戸田さん)
蛇口をひねっても、水は出ません。
町は、施設の維持管理費で年間250万円以上負担していて、配管工事に200万円以上かかる水道を通す余裕はないといいます。
さらに――。
Q.暑いですね
「風が通ってこないと、かなり暑いです」(戸田さん)
冷房設備は日本赤十字社から去年寄付された、クーラー1台と扇風機3台。
暑さをしのぐのは容易ではありません。
「町で対応できることの限界を知って」

一方、統廃合を逆手にとり、3年前に廃校となった中学校を利用した避難所もあります。
「電気も水道も、一切通っていないですね」(戸田さん)
師崎避難所の定員を超えたときに利用するといい、こちらもエアコンは設置されていません。
文部科学省によると、避難所に指定されている全国の公立の小中学校の体育館などを調べたところ、クーラーの設置率は、被災地の熊本が20.9%、東海3県は愛知が47.9%、岐阜は33.2%、三重は23.1%ですべての避難所が涼しい環境にあるとは限りません。
「(環境整備は)小さい自治体の財政負担が大きい。特に災害時でいつ使うかわからない費用への負担はかなり大きい。町で対応できることに限界があるので、寒い時は防寒対策、暑い時は熱中症対策で、ネッククーラーなど体を冷やす物を準備してきてほしい」(戸田さん)
住んでいる地域の避難所の実情を理解したうえで何が必要なのか、自らの備えを改めて考える必要があります。


