“新アリーナ”めぐり揺れる豊橋 住民投票のはずが…決裂のワケ 反対派市長VS推進派議員 愛知・豊橋市
“新アリーナ”を予定通り作るか、止めるのか、市長選をきっかけに論争が続いている豊橋市。住民投票を行う方向で整いかけたはずが、まさかのどんでん返しとなりました。市民を二分する議論は、どう決着するのでしょうか。
推進派が自ら提案した「住民投票」をわずか3時間で撤回
「スポーツのまち」を目指す豊橋市が、中心部に計画する5000人収容の新アリーナ。今年9月、建設費や維持管理費を含めた約230億円の契約を事業者と結びました。
ところが11月、当時の現職を破って当選を果たしたのは、建設反対を公約に掲げた長坂尚登市長。
豊橋市 長坂尚登市長:
「しっかりと広く意見を聞きながら、本当に豊橋が良い町になるよう、しっかりと力を尽くしてまいります」
建設費の増大や、計画決定の経緯について市民への説明が足りないことを問題視してきました。
就任後、すぐに契約解除の手続きに入り、2か月で工事はストップ。
市長の判断を支持する計画反対の市民からは「出来上がりがこの時期でないとまずいという形で話を進めてる。その辺は納得いかない」「ぐずぐずしてたらお金もかかるし、賠償もあると思うので、さっさと中止にしてほしい」などの声が上がっています。
一方、豊橋市にホームアリーナがあるプロバスケットボールB1リーグの「三遠ネオフェニックス」は、2026年に始まる新リーグ「Bプレミア」への参入が決まっています。しかし、5000人収容のホームがあることが参入の条件のため、取り消しの危機に…。
市議会は自民党など建設推進が多数派で、市長の意見とはねじれています。
推進派は「議会に報告せず契約解除の指示をした」と市長を批判。建設を求める請願と、バスケ会場などで集めた約13万人(このうち市民は約6万人)分の署名を議会に提出しました。
そんな中、市議会に推進派・反対派それぞれから住民投票条例案の提案が。これで住民投票が行われるかと思いきや、質疑のあと突然、推進派が提案を撤回。「市民に公平公正に情報提供をするのは困難」などとしました。
反対派の条例案は否決され、まとまりかけた住民投票は結局白紙に…。
自分たちが提案したばかりの議題を撤回したのは、一体なぜなのでしょうか。
多数派である推進派が条例案を出したのが午後1時。多数派なので可決され、住民投票になるはずでしたが、そのわずか3時間後、自ら撤回。代わりに市長が独断では正式に計画を止められないよう、「契約解除には議会の議決を必要とする」という別の条例改正を求めたのです。
反対派議員は「突然の撤回は違和感」「住民投票は(反対派に)負ける可能性があると思ったから、撤回してきたのでは。確実な方法に出てきた」と話しました。
賛否が二分している“新アリーナ”問題。住民投票せず、どう決着させるのでしょうか。