「いま運転手が手動で操作を始めました」駐停車や横断者などの自動運転の「苦手」を克服へ実証実験

名古屋の繁華街で自動運転車両の「苦手」を克服するための実証実験が始まります。名古屋駅周辺を走るクルマ。
記者:
「運転手はハンドルから手を放していますが、しっかりとルート通りに走っています」
愛知県は10月14日からの約半年間、この自動運転車両を使って名駅地区と栄地区、鶴舞のステーションAiの3地点を定期運行する実証実験を始めます。目的は、自動運転車両の「苦手」克服です。その「苦手」というのが…
記者:
「路上に車が多いですね」
駐停車している車両が車線を3分の1以上ふさいでいます。道路を横切る歩行者も。さらに対向車線からも車が続きます。この状態だと安全な追い越しができないとして、車が止まってしまいます。
記者:
「いま運転手が手動で操作を始めました」
交通の妨げになる前に運転手が介入。こうしたケースはテレビ愛知が取材した約30分間の走行の中で4回発生しました。愛知県はこうした複雑な道路状況でも運転手無しで自動走行できるよう、今回の実証実験でデータを収集し、システムの改修につなげたいとしています。
この自動運転車両は10月14日から3月19日までの予定で、1日10周程度、市内を走行します。
自動運転には、自動ブレーキなどで運転を支援するレベル1から、運転手がいなくても走行できる完全自動運転のレベル5まで、5つの段階があります。
今回、愛知県が行った実証実験は、状況に応じて人が操作するレベル2の技術で運転を行っています。すでに特定の条件のもとでドライバーが不要となる、レベル4の実証実験が全国各地の高速道路などで行われています。
今後、自動運転の実用化に向けて技術面の検証とともに課題となるのが、自動運転をめぐるルールづくりです。自動運転の法整備に詳しい明治大学の中山幸二教授に話を聞きました。
中山幸二教授:
「(自動運転で)自動車を走らせるところは、法整備がすでに出来上がっている。問題は、事故が起きた場合にどこが責任を負うかがまだ結論が出ていない。今後、有識者会議をはじめ担当各省庁で法整備を進める必要がある」
海外で自動運転の実用化が進む中、「日本が遅れている」との意見については。
中山幸二教授:
「技術だけで突っ走って、安全面の確保はないがしろにされがちになっている。これに対して、日本は安全面をずっと確保しながら自動車メーカーはやってきた。今、自動運転を進める中で、それ(安全面)が少しブレーキがかかっているように見えるが、安全面との両輪で実用化を進める意味では、実は着実に進んでいる」
そのうえで中山教授は、自動運転の実用化には地域住民の協力も重要だと指摘します。
中山幸二教授:
「例えば茨城県の境町で、自治体が無料で(自動運転バスを)走らせているが、数年やってきた中で地域住民が路上駐車をしなくなった。あるいは玄関の前に植物のプランターなどいろいろなものを置いていたが、自動運転が走りやすいようにと引っ込めた。住民が一緒になって自動運転車両を走らせる、そのために協力することが必要になってくるだろう」