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日本海軍の戦艦「山城」を模型で再現! 船体、砲塔、アンテナすべて自作の神業

圧倒的な情報量と精密感が魅力の軍艦模型。既製品の模型だけでは再現しきれないところまで手を加えると、よりその魅力が際立ちます。


今回紹介するのはその最たる方法で、既製品に頼ることなく、イチからすべて作り上げる「フルスクラッチビルド」というもの。盛り込まれたこだわりのポイントをピックアップしながらお届けします。


【動画はこちら】日本海軍の戦艦「山城」を模型で再現!

●モチーフの戦艦「山城」とは?

  • 艦橋


    山城の大きな見どころである艦橋。


大正時代に建造された山城は、1944年のレイテ沖海戦まで運用された扶桑型戦艦の2番艦で、国産初の超ド級戦艦としても知られています。


ほかの軍艦には見られない、非常に高く作られた艦橋が最大の特徴。太平洋戦争における近代化改修などで艦橋の形やレイアウトも変化しており、その時期ごとの姿をモチーフにしたキットが各社からリリースされています。


  • 戦艦の資料を見せる男性


    資料をもとに立体化させる。


1944年のレイテ沖海戦で見せた、旗艦として最も実戦的な形を構成した姿を再現。残されている資料をもとに立体化させていきます。


●フルスクラッチビルドの方法

  • 実際の船を造る手順を参考に製作する様子


    実際の船を造る手順を参考に製作


特に今回は1/200と大きいため、実際の船を造る手順を参考に製作していきます。素材のほとんどは軽くて切削性にも優れた木材を使用しています。


  • 正面線図をベニヤ板に貼り付けてパーツを作る


    正面線図をベニヤ板に貼り付けてパーツを作る。


資料に掲載されている正面線図をゲージにパーツを切り出して行きます。


  • 竜骨にパーツをはめていく


    竜骨にパーツをはめていく。


人にとっての背骨にあたる竜骨に切り出したパーツをはめ込んでいきます。このあたりは特に実際の船造りさながらな光景。


  • ヤスリがけでアウトラインを整える様子


    ヤスリがけでアウトラインを整える。


骨組みができたら木材を形作り、ヤスリがけでアウトラインを整えます。そして、天面をアルミ板で塞いで甲板の土台とします。


  • 1ミリ幅の角材が並べられている


    1ミリ幅の角材150枚を張り合わせて再現。


木目の甲板は一枚板にディテールと木目調の塗装で表現することが多いですが、今回は1ミリ幅の角材150枚を張り合わせて再現していきます。


  • 角材同士を貼り合わせる面を黒く塗っておきます。


    角材同士を貼り合わせる面を黒く塗っておきます。



  • 黒く塗装することで境目はっきりしてディテール感が強まる


    黒く塗装することで境目はっきりしてディテール感が強まります。


  • 主砲などの艤装ももちろん自作で用意


    主砲などの艤装ももちろん自作で用意します。


  • 設計図をゲージにして切り出す


    設計図をゲージにして切り出す。


  • 砲身はアルミパイプの組み合わせと加工。


    砲身はアルミパイプの組み合わせと加工。


  • 配線の中の銅線を取り出して砲塔の手すりに使用


    配線の中の銅線を取り出して砲塔の手すりに使用。



各部ディテールアップを施し、塗装したら砲塔の完成。ちなみに1つ完成させるのに26時間ほどかかることもあるといいます。


●張り線を施して仕上げる

  • 船体に張り巡らされた配線を細い糸やテグスで再現


    船体に張り巡らされた配線を細い糸やテグスで再現。


艦船模型において高い効果をもたらす張り線作業は、船体に張り巡らされている配線を細い糸やテグスで再現するというもの。これをするかしないかで情報量が大きく変わります。


  • 碍子を作る様子


    碍子も作る。


絶縁体である碍子も配しておく。特に1/350以上の大きいスケールのものは再現しておきたいです。


  • 手すりを再現する様子


    手すり表現も大事な要素。


看板周りの手すり表現も張り線と同じくらい重要な要素。色を配して整えます。


  • 完成系


    完成系はこちら!


既製品のキットを仕上げたといっても過言ではないクオリティー。たとえキットがあったとしても、ここまでの情報量で仕上げることは非常に難しく、スクラッチビルドでそれができているのは、模型への情熱の成せる業といったところでしょう。


スクラッチビルドは、いきなりすべてを造るのではなく、ごく一部のパーツを新造することからスタートしてみるのがオススメです。どんなに小さなものでも再現度を追求することは、模型製作の面白さや技術の向上に必ず直結してくれるはずです。