名古屋市北区に"リアル湯婆婆"がいる!? サウナは驚異の120度! 老舗銭湯「長喜温泉」の魅力に迫る
「名古屋に“リアル湯婆婆”と“釜爺”がいるという噂の銭湯があると聞き、さっそく訪れてみました。そこには、昭和の趣が漂う懐かしい銭湯と、湯婆婆を支える孫娘さんの姿が! 地域に愛される「長喜温泉(ながきおんせん)」、その魅力と温かさに触れてきました。
釜爺が湯の番をする昭和ノスタルジー「長喜温泉」
地下鉄黒川駅から徒歩10分、創業68年の老舗銭湯「長喜温泉」。ここは、昭和の雰囲気が色濃く残るノスタルジックな空間が広がります。まるで映画のセットに迷い込んだようなレトロな佇まい。ジブリ映画『千と千尋の神隠し』に登場する人気キャラクター・湯婆婆がいてもおかしくない……そんな独特な雰囲気が漂います。
まず出迎えてくれるのは“釜爺”こと柳町さん(75)。昔ながらの薪をくべる釜を担当し、80度の湯温を保ち続けるその姿は、まさに釜の番人! 毎日営業開始3時間前から閉店まで、絶え間なく火を見守るその職人技が湯の熱さを支えています。
名古屋で最も熱いと話題! 噂の120度サウナ
長喜温泉が誇るもう1つのアツアツ、それが「名古屋イチ熱い」といわれるサウナ。一般的なサウナは90度程度ですが、長喜温泉は120度! このサウナの生みの親は、御年83歳の “リアル湯婆婆”こと安藤芙美さん。16歳の頃から番台に座り続ける、まさに長喜温泉の看板娘です!
お客さんの「もっと熱くしてほしい!」との声に応え、サウナの温度を120度に上げたといいます。優しいリアル湯婆婆の笑顔とおもてなしに惹かれ、多くの人が訪れます。
リアル湯婆婆と孫が仕掛けた逆転劇
そんな湯婆婆の銭湯も、3年ほど前には閉店の危機に直面しました。老朽化や光熱費の高騰、さらにはコロナ禍が重なり経営は厳しい状況に。そこで立ち上がったのが、孫の井上美菜さん。幼い頃から長喜温泉で多くの時間を過ごしてきた美菜さんは、湯婆婆の居場所を守りたい一心で行動を開始します。
起死回生の秘策は、SNSでのダンス動画! ダンス経験者の美菜さんが踊り、その後ろで湯婆婆も踊るというシュールな光景が話題となりました。動画は瞬く間に拡散し、全国から訪れるお客さんが増加。番台の様子をライブ配信するなど、斬新なアイデアで新たなお客さんの心をつかみました。
変わらない銭湯の魅力を届けたい 湯婆婆推しの戦略
銭湯の人気をさらに後押ししたのが、湯婆婆を前面に押し出した物販戦略です。湯婆婆のイラスト付きグッズや、熱々風呂と水風呂をデザインしたアイテムなどを販売。若かりし頃の湯婆婆を描いたPOPも話題を呼びました。その結果、3年前から来客数は2倍に、物販の売り上げはなんと10倍に!
さらに、湯婆婆のコラムが掲載された手作り新聞も作成しました。昔ながらの銭湯の良さを大切にしつつ、次々と新しい挑戦を続ける美菜さんの努力が実を結んでいます。
「昔ながらの懐かしい銭湯のイメージを崩したくない」と語る美菜さん。長喜温泉はこれからも、老若男女問わず愛され続ける銭湯になることでしょう!
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