魚屋の倉庫がランチスポットに!? 活魚店の2代目社長が営む「とっと屋三太郎」の挑戦【名古屋市中川区】
「倉庫で味わう絶品ランチ」が話題と聞き訪れてみると、そこには活魚卸業を営みながら、3人の子どもを育てる2代目社長の姿がありました。自慢の新鮮な魚を、もっと多くの人に味わってもらいたい——。そんな思いから、倉庫の一角を活用し、週4日限定のランチ営業をスタート。先代の夢を受け継ぎながら、新たな挑戦を続ける彼女の奮闘に迫ります。
ランチ限定の飲食店をオープン!名古屋の活魚専門店
鮮魚ではなく、活魚を扱う老舗「北陽水産」
名古屋市中川区で20年以上にわたり活魚の卸売を手がける「北陽水産」。プロ向けの卸業者として、倉庫の奥には海水を満たした巨大ないけすがあり、カワハギや養殖アジなど、市場ではなかなか手に入らない貴重な魚が泳いでいます。
父親であり先代社長の夢だった飲食店を英里さんがカタチに
北陽水産を引き継いだのは、2代目社長の大脇英里さん。倉庫の空きスペースを活用したランチ限定の飲食店「とっと屋三太郎」を開店しました。週4日(月・火・木・金)に営業し、新鮮な魚を余すことなく活かしたいとの思いから始めたといいます。
新鮮な海の幸を堪能! 倉庫で味わう絶品定食
活魚店だからこそ提供できる極上の「お刺身定食」(1300円)
「とっと屋三太郎」の看板メニューは、日替わりの「お刺身定食」。この日、いけすで泳いでいたタイを中心に、北海ダコ、メカジキ、イワシなど、盛りだくさんの内容。活魚卸ならではの新鮮な魚が楽しめるお得なランチです。
珍しいお魚も日替わりで登場。定番の唐揚げも絶品
さらに、オプションで広島産の生ガキを追加できるほか、自家製のあん肝なども用意。ワカサギに似た「チカ」のフライなど、珍しい魚のフライ定食も日替わりで登場します。魚が苦手な人向けには、自家製の唐揚げ定食もあり、ラインアップの充実ぶりには驚かされます。
この日は早朝2時半起き!早朝からフル稼働の英里さん
英里さんの1日は、早朝の活魚配達からスタート。生きた魚を生きたまま運ぶという父からの教えを守り、毎日海水と格闘しています。3人兄弟の長女として育ち、子どもの頃から手伝いをしていた英里さんは、会社がなくなる未来を想像していたそう。「自分が継ぐしかない」と決意し、2024年に社長に就任しました。
早朝の配達が終わると、子どもを起こしママとしての仕事へ
配達が終わると、自宅に戻って小学生のお子さんを起こして送ります。仕事と子育てを両立するママ社長は、早朝から晩までフル稼働です。
実は「とっと屋三太郎」の店名にある“三太郎”は子どもたちから名付けられたそう! 英里さんの子どもは3人とも名前に「太郎」が入っているんです。店名からも、3人を思う英里さんの気持ちがうかがえます。
自ら仕入れに向かう情熱のトラックドライバー
自分で活魚を仕入れられるのが大きいと話す英里さん
さらに、英里さんにはもう1つの顔があります。それは「ママさんトラックドライバー」。自らトラックを運転し、活魚を仕入れに行くこともあります。
この日、早朝3時に英里さんが大型トラックを運転して向かったのは、三重県南伊勢町の漁港。目当ての魚を確保するため、息子の爽太郎くんとともに出発しました。
わざわざ足を運んでも仕入れたいこだわりのタイ
仕入れたのは父の代から太鼓判を押す南伊勢町のタイ。活魚にこだわり、おいしい魚を届けるために奮闘する英里さんの姿を、家族も温かく見守っています。
土曜日は1日限定のプレミアムな魚屋さんに
そして「とっと屋三太郎」は、土曜日になると魚屋さんに変身。鮮魚や惣菜が並び、いけすで泳ぐ新鮮なタイも予約すれば姿造りで提供可能です。さらに倉庫前では炭火で魚を焼き上げ、自家製のタレをつけた照り焼きも販売しています。中川区の住宅街に広がる香ばしい焼き魚の匂いは、地域の名物になりつつあるのです。
卸業と飲食店、そして家庭の両立を見事にこなしながら、英里さんは今日も生き生きと働いています。
店舗概要
「とっと屋三太郎」
住所:名古屋市中川区上高畑二丁目13
営業時間月火木金魚ランチ11:00〜14:30
定休日:水曜、土曜、日曜
※魚屋さんは11:00〜16:00営業