「押して切る」?「引いて切る」?包丁を正しく使っておいしさアップ!プロが教える食材別の正しい切り方とは『チャント!』
毎日のお料理、包丁を正しく使えていますか?実は、包丁の使い方ひとつでお料理のおいしさがアップするんです!視聴者から届いた「包丁って押して切る?引いて切る?」というギモンを「ちょいと解決しましょう課」で、中山真希調査員(以下、中山調査員)が調べました。
刃物産地で調査開始!「包丁の種類や食材によって違う」
今回のギモンは、料理歴40年の主婦・鈴木さんからのギモン。料理番組を観ていて気になったことがあるそうで…。
(投稿者・鈴木さん)
「私はたいていのものを、包丁を押して前に前に切っている。(料理番組の)先生たちはスッスッスッと手前に引いて切っているのを見かける」
家庭科で料理を習って以降、包丁の使い方は我流という鈴木さん。ニンジンやピーマンは、押し切り、マグロの刺身は奥から手前へ引き切り、という風に使い分けています。最近、中学生の長男に料理を教えることもあり、このままでいいのか心配になってきたそうです。
中山調査員は、世界的な刃物の産地として知られる岐阜県関市にある刃物の直売所「岐阜関刃物会館」へと向かいました。関市のメーカーによる約400点の包丁が大集結。多くの商品が市場価格の1割引きから2割引きで購入できます。食材の切り方について、専務理事の桜田公明さんに尋ねました。
(岐阜関刃物会館・桜田公明専務理事)
「包丁のものによって、食材によって違いがあるかな」
どうやら、包丁の種類や食材によって変わるようです。
「和包丁・洋包丁・三徳包丁」それぞれの特徴とは…?
桜田専務理事によると、包丁の種類は、和包丁と洋包丁の2種類あるといいます。
(岐阜関刃物会館・桜田公明専務理事)
「和包丁。出刃とか柳刃と言われている。出刃は魚を3枚におろしたり、柳刃は刺身包丁で、刺身を薄く切ったりする時に使う」
和包丁の特徴は、その刃にあります。刃先の断面を見てみると、片方だけに刃が付けてあるものが多いそう。食材に鋭く食い込み、素材を薄くきれいに切ることもできます。
一方、洋包丁は一般家庭でおなじみの三徳包丁や、肉も野菜も切れる牛刀、フルーツなどが切りやすい小ぶりのペティナイフなどがあります。洋包丁の特徴は、刃が両刃であること。片刃包丁の一部は引いて使うものもありますが、両刃の包丁は押し切りでも引き切りでも使えます。
(岐阜関刃物会館・桜田公明専務理事)
「三徳はひとつの包丁で魚・肉・野菜3つの徳。何でも切ることができる」
オールマイティーなのが三徳包丁ということでした。
硬いものは押し切り、柔らかいものは引き切りが基本
何でも切れる三徳包丁でほとんどの料理を作っている料理人がいます。関市内の創作和食「葉菜」のシェフ、水谷千佳さんです。
(葉菜・水谷千佳シェフ)
「食材によって押したり引いたりしています。硬いものだと押して切ったほうが安全。柔らかいものだと押すよりも引いたほうがいい場合があります」
硬いニンジンは押し切り、豚のヒレ肉は柔らかいので引き切り、マグロの切り方も引き切りにしています。鈴木さんのマグロの切り方も引き切りでしたが、水谷シェフは少しだけ気になることが。
(葉菜・水谷千佳シェフ)
「包丁の動きはすごく良かったんですけど、三徳包丁に対してマグロの柵が長すぎる。最後の部分が崩れてしまう」
マグロの刺身などを切る際、柵が太い場合は、まず細めにすることで三徳包丁の刃渡りでも切りやすくなります。さらに、食材の見た目だけでなく、きれいに切るとおいしさも変わるのだとか。
例えば、玉ねぎのみじん切りのポイントは、玉ねぎに縦方向に入っている繊維を切ってしまわないこと。
(葉菜・水谷千佳シェフ)
「繊維に沿って繊維を壊さないように。(繊維を壊すと)野菜のうま味が逃げて、苦みやえぐみが出ちゃうので」
縦に切れ目を入れたら、今度はまな板に並行に包丁を入れ、みじん切りにしていくのがいいそう。あとは粗い部分だけに、包丁を入れれば完了です。
切れ味のいい包丁で繊維に沿って切るとうま味アップ!
味の違いを比較するため、繊維を横に切ったみじん切りを生で試食してみると、辛味が。繊維を壊すと、玉ねぎの辛味成分「硫化アリル」が外に出て涙が出やすく、辛味も強く感じてしまうのです。一方、繊維に沿って切った水谷シェフのみじん切りの味は甘味があり、フルーツ感がありました。
包丁の切れ味によっても、おいしさは変わります。新品の包丁と、砥がずに使い続けた包丁で、マグロとピーマンを切り、味覚センサーで調べたところ、マグロは切れ味の落ちた包丁を使うと旨みがなくなり、苦みが増加。ピーマンも、砥がずに使い続けた包丁では苦みも酸味も強くなってしまう傾向に。
繊維を壊してしまうことが原因のため、よく切れる包丁を使うだけで子どもの好き嫌いを克服できるかもしれません。
今回の報告!「包丁は、硬いものは押して切る。柔らかいものは引いて切るのが基本。繊維をなるべく壊さず切れば、料理もおいしくなります」でした。
(葉菜・水谷千佳シェフ)
「包丁の使い方に正解とか不正解はなくて、自分のやり方で全然大丈夫です。食べてもらう人のことを考えて安全に切れるようにすることが、一番おいしく料理を作るポイントだと思っています」
無事に包丁の使い方についてのギモンを解決することができました。
CBCテレビ「チャント!」2月2日放送より