
飛騨牛ロース3枚入りの定食が1680円…「良い肉を安く」老舗精肉店が営む焼肉店 先代の背中負う店主の信念


岐阜県多治見市の精肉店が営む「あぶり」は、飛騨牛ロース定食が1680円など、上質な肉を“お値打ち価格”で提供する人気店です。先代の想いを受け継ぎながら、家族3人で切り盛りする老舗は、「良い肉を安く」を信条に、変わらぬ味を守り続けています。
■一番人気は飛騨牛ロース3枚入りの焼肉定食
多治見駅から徒歩10分の場所にある焼肉店「あぶり」 では、飛騨牛のロースを使った定食をはじめ、上質なお肉をお値打ちに味わえると評判です。

客: 「こんないいお肉をこの値段で食べられるなんて、安い」 別の客: 「うまい。ご飯がすすむ」 一番人気の「和牛焼肉定食」(ランチメニュー・1680円)は、飛騨牛のロース肉を3枚使用。

さらに、石鍋でいただく「牛ミックスホルモン定食」(ランチメニュー・980円)や、飛騨豚を使った「ポーク焼肉定食」(ランチメニュー・900円)など、こだわりのメニューが1000円以下で楽しめます。
■物価高の時代に“お値打ち価格”を実現する理由
物価高が続く中、なぜお値打ち価格を維持できるのでしょうか。 丸長渡辺精肉店2代目店主・渡邉和正さん: 「精肉店なので、おいしいお肉を少しでも安く食べていただけるようにしています」

先代が昭和30年に精肉店として開業し、平成11年に焼肉店をオープン。 老舗精肉店ならではの独自ルートで良質な肉を安く仕入れ、それを焼肉店で提供することで価格を抑えています。 そしてもうひとつ、安さの理由は「家族経営」。妻と娘とともに、家族3人で店を切り盛りしているからです。 和正さん: 「家族でやっていて人件費がかからないし、自分の店舗なので。その分お客さんに還元させていただいて」

妻・さとみさん: 「精肉店でおいしいお肉を提供ができるのは、もうここしかない。お値打ちに提供するのがモットー」 妻そしてこの店の魅力は安さだけではなく、常連客を虜にする“肉質の良さ”にもあります。 客: 「ここのお肉は美味しい。昔から来ている」 別の客: 「私たちの家族では、これがお肉っていう感じ」

良質な肉を提供できる理由は、店主の長年の“目利き”にあります。信頼する専門業者が持ち込む肉を、自らの目で見極めて仕入れています。 この日に仕入れたのは「知多牛の腕」。さばくのに技術が要る部位ですが、和正さんは慣れた手つきで次々とさばきます。数日寝かせて一番おいしい状態を見極め、その日の朝に精肉し販売します。

和正さん: 「すき焼き用なのであえて細かくカットしない。 牛丼というよりすき焼き丼に近い。肉屋なので豪快に」

良質な知多牛がたっぷり乗った「牛丼」(ランチメニュー・900円)や、国産牛を贅沢にカットした「ビーフカレー」(ランチメニュー・1200円)も人気です。
■仕入れから調理まで一人で…受け継がれる職人の技
値上げは考えていないのでしょうか。 和正さん: 「おいしいものをお値打ちには、変えたくないので、ギリギリのところまで頑張りたい」 そんな和正さん、実はもともとはサラリーマンでした。 妻・さとみさん: 「サラリーマンから特殊な業種に、本当によく来てくれたなと。ありがたい気持ちでいっぱい」

先代の娘であるさとみさんと結婚後、不慣れなこの世界に飛び込んだ和正さん。最初に苦しんだのは“目利き”でした。 和正さん: 「(先代は)生体を触っただけで分かる人だった。生きている状態で、触るだけでこの牛絶対おいしいって分かる人」

職人になって30年以上。今でも「先代の目利きには及ばない」と話す和正さんですが、少しでも近づきたいと長年続けていることがあります。 和正さん: 「先代が市場へ行って、自分の気に入ったお肉を仕入れてきて売っていたのを見て、いいなと思って」 以来、和正さんは先代と同じように肉の選別から精肉、販売、配達、調理に至るまでできる限り自ら行うと決め、それを守り続けています。

和正さん: 「(先代は)亡くなる2週間ほど前まで仕事をしていて。自分も倒れる寸前まで現場に立っていたい」 そんな姿に、娘・つかささんは。 娘・つかささん: 「父親がお肉をさばく姿が、小さい頃に見ていたおじいちゃんの姿になってきた」 妻・さとみさん: 「目利きって本当にセンス。教えてもらってできるものじゃない。ようやく自分のものにしているなって。見ていて、父らしくなってきたって」 代が変わっても、職人のこだわりを守り続ける家族経営の焼肉店。 和正さん: 「お客さんに、お値打ちにおいしいお肉を食べていただきたい。今後も、できる限り続けていきたい」 代が変わっても変わらない味と想い。先代の想いと家族の絆が、今日も店の味を支え続けています。 2025年10月8日放送