
「産後ケア」“4か月以降”の見守り強化が直面する課題

赤ちゃん:「くしゅん」
保育士:「くしゅんて言ったね」
赤ちゃんの健やかな成長を願いつつも、誰もが不安をかかえながら奮闘する育児。そんな悩めるお母さんにとって、心の支えとなるのが産後ケア制度です。
産後ケアを利用する母親:「この日があるから他の日を頑張れるなと思った」
産後ケアは、子育てに悩む1歳未満の子を持つお母さんが市町村に支援を申請し、サポートを受ける制度。
授乳や寝かしつけの相談などができますが…様々なサービス形態の中で人気があるのは、赤ちゃんを預けてお母さんが休息をとる母子別室スタイルです。
このままだと「預かるのは難しいかも」 現場のホンネ

そんな母子別室での産後ケアを行う子育て支援施設、愛知県みよし市にある「Mom House」
ここでは、みよし市と、隣接する豊田市の二つの自治体から合わせて、月に10件ほど、少ない月でも4件ほど産後ケア希望者の紹介を受けているといいます。
しかし今、産後ケア事業を続けていくうえでの困難に直面していました。
Mom House管理人・近藤綾子さん:
「(このままだと)4か月5か月以降の大きくなったお子さんを終日預かるのは難しいかもしれないよという話をさせてもらったんですけど」
産後4か月以降の受け入れに、課題を感じているという近藤さん。
なぜ、産後の時間で状況が変わっているのか…。
ヒントになるのが、赤ちゃんの動きです。
“4か月”を境に何が変わる?

すやすやとかわいい寝顔をみせる赤ちゃん。
この赤ちゃんは生後2か月。大きな動きはないため、布団からはみ出るようなことはありません。
保育士:「ミルク飲んで落ち着いたね」
それが4か月を超えると…。
平針北クリニック・長谷川浩司 理事長:
「寝返り打つようになるとどこかにぶつけたりするので、なかなか目が離せない状況になり、やはりちょっと手がかかる。」
“寝返り”。これが生後4か月あたりを境に出てくる大きな違いです。
寝返りが打てるようになれば、お着替え中もごろごろ。いろいろなものに興味を持ち、ひとつひとつの動きも大きくなります。
目を離している間に、事故につながってしまう危険も。
そのため、子ども家庭庁は2025年度から、4か月以降の見守り強化を目指して新しい方針を決定。市町村に委託料を加算するよう、推奨し始めたのです。
人手確保のための“委託料加算” 難しいワケ

あのみよし市の施設は、産後4か月の親子に対応するためスタッフを増やそうと委託料の加算を求めましたが、すぐにはかなわないとの結果に。
委託している自治体の一つみよし市は、委託料の加算が難しい理由について「市の財政ではママが払う産後ケアの利用料を安くするので目一杯」としています。
みよし市役所こども相談課・杉山治弘 課長:
「生後4か月以降に対応する人員が足りずに、負担が大きいという意見はいただいています。市としてもそういった意見を受け止めて、必要な支援を検討していきたい」
愛知県によると、他にも複数の自治体で加算が難しい実態があるといいます。
加算がつかないまま対応を整えていくと、事業継続が厳しくなってくるという施設側。
Mom House管理人・近藤綾子さん:
「誰かに預けて休んで持ち直してまた明日から育児を頑張りたいという人は、かなりの割合いるのかなと思うので、そういった人たちがSOSを出したときには応じたいと思う。それが続けられるような調整がされるといいかなと思います」
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10/9(木)に『キャッチ!』で放送しその後動画配信したこの企画の一部に不正確な表現がありました。
取材した施設の8月の委託件数を20件ほどとお伝えしましたが、正しくは10件ほどで、その10件はみよし市と豊田市からの委託を合わせた件数でした。
当該箇所や関連する部分を修正し、改めて配信致します。