
『一番目覚めやすいアラーム音』『眠れなかった時のNG行為』…睡眠研究の世界的権威が明かす“快眠術”

質の高い睡眠をとるには、室温や部屋の明るさなど“環境づくり”が欠かせません。睡眠研究の第一人者・筑波大学の柳沢正史教授は、冬は室温20℃以上を保ち、寝室は朝まで真っ暗にすることが重要だと指摘します。
■快眠の鍵は「室温20℃以上」…冬の理想的な寝室環境
質の高い睡眠をとる“快眠術”について、睡眠研究の世界的権威・筑波大学の柳沢正史教授に聞きました。
柳沢教授: 「一番大事なのは部屋の環境。(冬は)20℃以上を保った方が良い。18℃を切ると、健康に悪いというエビデンスも出ている」
タイマーで時間設定しがちですが、朝目覚めるまで室温を保つのも質の高い睡眠への近道だといいます。また、部屋の明るさについては。 柳沢教授: 「寝室は、朝まで真っ暗がいい。もう一つ大事なのは光環境で、睡眠学的には外が暗くなった以降の時間帯は、部屋の中も少し薄暗いくらいが良い。夜の強い光は睡眠学的に極めて有害」
そのほか、就寝前のスマホの利用については、SNSやゲームなど脳を活性化させて眠気を阻害するものはNGですが、リラックスできる内容であればOKということです。
飲酒については就寝4時間前までが理想的といいます。
■休み明けがだるい理由──原因は“自分がつくる時差”
月曜日など休み明けの日に、しっかり寝たのに体がだるいと感じたことはないでしょうか。 柳沢教授: 「自分で時差をつくってしまったせいで月曜日が辛い。非常に体に負担がかかる状態が“社会的時差”と呼ばれている」
例えば、平日午前0時から6時まで睡眠を取った場合、中央時刻は午前3時になりますが、休日にゆっくり寝たいと午前2時から正午まで寝た場合、中央時刻は午前7時に。平日との間にできる中央時刻のずれが“社会的時差ボケ”を生んでいるのです。 そのため、中央時刻ができるだけずれないように睡眠をとることが心身の健康につながるといいます。 柳沢教授: 「“社会的時差ボケによる、日本全国での経済損失の推定値は1兆円」
■睡眠と目覚めに関するクイズ
休み明けに感じるだるさの正体が“社会的時差ボケ”だと分かりました。では、ここで睡眠と目覚めに関するクイズです。 第一問、「この中で一番目覚めやすいアラーム音はどれ?」 A:波の音 B:好きなアーティストの歌 C:チャイム音 【正解:B】好きなアーティストの歌
「人間の聴覚はとくに“人の声”に敏感。人は言葉でコミュニケーションをとる動物のため、人の声が聞こえると覚醒しやすい」と柳沢教授は説明します。 第二問、「眠れない時のNG行動はどれ?」 A:起きてホットミルクを飲む B:横になって目をつむり続ける C:自然の動画をスマホで見る 【正解:B】横になって目をつむり続ける
「眠れない状態で横になり続けると、“ベッド=眠れない場所”と脳が認識し、本格的な不眠症の入り口になってしまう」と柳沢教授は説明します。 柳沢教授: 「本当に日本人は国民総寝不足。ある一定時間は睡眠のために使うと先に決めて、残りの時間を有効利用する考え方に切り替えないと」 睡眠の質を整えることが、健康的な生活につながるといえそうです。 2025年10月30日放送





