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稚魚のシラスウナギを守れ 16桁の番号で管理 輸入のシラスウナギの管理をどうるのかが課題

テレビ愛知
12.04(木)18:57

愛知県の新しいブランドウナギ「葵うなぎ」の魅力をPRするイベントが開かれました。大きくて身が柔らかいのが特徴です。

炭火で焼かれているのは「葵うなぎ」です。12月4日に開かれたPRイベントでは、うな丼やひつまぶしが150食限定で提供されました。

葵うなぎを食べた客:
「身もやわらかいし、甘い感じがする。ウナギの量が多く感じる」

「葵うなぎ」は、大豆イソフラボンを混ぜたエサを与えることでメス化する技術を使って養殖されたウナギです。メスはオスに比べて大きくなっても身が柔らかいため、1年ほどかけて大きく育てることができ、冬に出荷のピークを迎えます。

運営会社かぶらや 水野尚樹相談役:
「冬場でもおいしいウナギが、夏だけでなく食べられるのが最大の特徴だと思う」

ウナギの養殖に欠かせないのは、稚魚のシラスウナギ

システムで出力された16桁の漁獲番号

ウナギの養殖に欠かせないのは、稚魚のシラスウナギです。愛知県内では12月下旬に漁が解禁されますが、2025年は流通の過程に変化があります。対応するための準備が進む現場を取材しました。

全日本持続的養鰻機構 伊豆野純平さん:
「お互いが水産流通適正化の義務を履行できるシステムになっている」

豊橋市にある養鰻組合で12月4日に行われたのは、シラスウナギの漁獲量や取り引きの状況などを管理できるシステムの説明会です。漁師が身分証を機械にかざして手続きをスタート。取り引きするシラスウナギの重さを計り、入力します。すると16桁の番号が記載された伝票が印刷されると同時に、入力された取り引きの内容が情報を管理する機関を通して都府県などに報告される仕組みです。

12月からシラスウナギは「水産流通適正化法」の適用対象

シラスウナギの流通について語る夏目義秀代表取締役

12月からシラスウナギは、水産物の取り引き記録の作成や保存を義務付ける「水産流通適正化法」の適用対象になりました。これにより、16桁の番号がないシラスウナギは流通させてはいけないことになりました。これまで紙で伝票の管理を行ってきたという集荷業者は、次のように話しました。

夏目商店 夏目義秀代表取締役:
「初めてのことなので全てが不安だったが、すごく分かりやすい説明をしてもらえたし、あとは使ってみてどうかなというところ」

シラスウナギをめぐってはこれまで流通の不透明さが指摘されていました。水産庁によりますと、2024年シーズンに漁師などが都府県に報告したシラスウナギの量は約5トンだったのに対し、養殖池に入れられたのは約7.1トン。残りの約2.1トンの出所は不明で、無許可の漁、いわゆる密漁の可能性もあると考えられています。

夏目商店 夏目義秀代表取締役:
「現場にいる人たちは、ちゃんとした流通をこれからやっていきたいと思っていると思う。流通の明確化をすることで、シラスウナギの正確な流通ができるというのはいいことかなと」

専門家「輸入のシラスウナギをきちんと管理する必要がある」

輸入のシラスウナギの管理について語る滝本麻耶さん

流通制度の変更で違法な取り引きを無くすことはできるのでしょうか。専門家に聞きました。水産資源の保護に取り組む世界自然保護基金ジャパンの滝本麻耶さんです。滝本さんは流通制度の変更で国内の密漁は減ると予想しますが、課題は残っていると指摘します。

世界自然保護基金ジャパン 滝本麻耶さん:
「この制度の運用、適用は実は国内だけなんです。輸入のシラスウナギには(管理の義務付け)がない」

水産庁の調べでは、2024年シーズンに国内の養殖池に入れられたシラスウナギのうち、6割ほどは輸入されたシラスウナギです。多くは香港からの輸入で、滝本さんは法にのっとって漁が行われたか不明だといいます。

世界自然保護基金ジャパン 滝本麻耶さん:
「国内と合わせて、輸入のシラスウナギをきちんと管理することで、ウナギの資源保護、取引管理が完全なものになると思う」

一方で管理を厳格化すると、価格面で影響が出る可能性について滝本さんは指摘します。

世界自然保護基金ジャパン 滝本麻耶さん:
「管理をきちんとするには相応のコストがかかる。そのコストが多少価格に反映される可能性はあると思う。安くておいしいというのは消費者だと求めるものだとは思うが、不当に安いものは何か(管理のための)コストが抜けているのかな、という目をもって欲しい。(私たちがウナギを)適正に管理・消費してずっと食べ続けられるというところにつながっていくと思う」

世界初「ニホンウナギの脂を作る細胞を作り出す」

「ニホンウナギの脂を作る細胞」を作り出すことに成功

ウナギについては、12月2日に世界初の研究成果が発表されました。東京都立産業技術研究センターと北里大学でつくるグループが、研究によってウナギの筋肉組織から「ニホンウナギの脂を作る細胞」を作り出すことに成功しました。

研究グループによりますと、この細胞が作る脂に含まれる脂肪酸の種類の比率が、養殖ウナギの脂に近いということです。ウナギの『筋肉』を作る細胞はすでに作り出されているため、研究グループは「細胞性ウナギ肉の実現に不可欠な要素が揃った」と話しています。実用化されればウナギの資源を守る手段の一つになるかもしれません。

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