熱中症の約4割は夜発症というデータも 要注意の「夜間の熱中症」症状と対策について解説

毎日、厳しい暑さが続いていますが、朝起きて「体がだるい」、「頭が痛い」と感じることはありませんか? その症状、もしかすると「熱中症」かもしれません。兵庫医科大学の小児科学が専門の非常勤講師・服部益治さんによると、熱中症になった人の約4割は夜間や就寝中に発症しているといいます。そこで今回は「夜間の熱中症」について調べました。

いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長によると、夜間の熱中症の症状は以下のとおり。
・夜でも朝でも、目が覚めたときに体がだるい
・頭が痛い
・吐き気がある
・パジャマやシーツが汗でベチャベチャで不快感がある など
夜間の熱中症は、自分も周りも寝ていて朝まで気が付かないことが少なくありません。その場合、医療機関への搬送が遅れて命の危険が高まることにつながります。そのため、しっかり対策することが大切です。
異変を感じたらまずは水分補給をして、それでも改善しない場合は早めに医療機関を受診しましょう。
寝るときもエアコンはかけっぱなしに!

夜間の熱中症の具体的な対策方法について、兵庫医科大学・小児科学の非常勤講師、服部さんに話を聞きました。
1つ目は「寝るときもエアコンはかけっぱなしにする」こと。温度を26度~27度、湿度を50%前後に設定することが理想です。というのも、服部さんによると昼間に太陽の熱で温められて家の壁や天井には熱が蓄えられています。夜に外気温は下がっても、室温は壁や天井から蓄えられた熱が室内に放出されるので、下がりにくいからなんです。

また、寝るときの服装選びも大切です。いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤院長のおすすめは、風通しの良い素材で吸収力がある「長袖長ズボン」。体の汗を吸収して蒸発させて体の熱を逃がし、温度を下げる効果が期待できるといいます。
ただ、暑いからといって氷枕などを使って寝るのは逆効果につながるそう。氷枕によって頭が急激に冷え、脳が寒いと勘違いして体を温めようとするからなんです。
寝る前にはコップ1杯の水を

夜間の熱中症対策の2つ目は「寝る前の水分補給」。伊藤院長は「人は寝ている間に呼吸や汗などによって、750ミリリットルから1リットルの水分を失う」と話します。寝る前には必ず、少なくともコップ1杯の水を飲みましょう。さらに寝ているときに口呼吸になっている人は要注意。口は鼻に比べて空気と触れる面積が大きいです。口で呼吸すると、より多くの水分が出て行ってしまうので、脱水症状が起きやすく熱中症のリスクが高まるといいます。

水に加えて補給するといい飲み物は「牛乳」です。牛乳をはじめ、タンパク質を含む飲み物は、水などに比べて体に水分が吸収されるのが1~2時間ほど遅いんです。そのため、水が吸収されたあとに時間差で牛乳などの水分が吸収され、結果として長い時間、水分補給ができるようになるんです。
ちなみに服部さんによると、紅茶をはじめとするお茶やビールなどのアルコール類は利尿作用があるものもあり、脱水症状につながる恐れがあるので注意が必要といいます。翌日の朝、元気に目覚めるために油断せず夜もしっかり熱中症対策を行いましょう。