さまざまな仕掛けやアイデアで、にぎわいを取り戻した全国の町や観光施設を紹介するシリーズ企画。以前は有田焼として売られていた長崎県波佐見町の焼き物。新たに波佐見焼としてブランド化し、今や有田焼を超える販売額を誇ります。その波佐見焼を核とした新たな仕掛けを取材しました。
伝統を現代風にリブランディングし、人気が急上昇

長崎県波佐見町。人口約1万4000人ののどかな街に、年間100万人を超える観光客が訪れます。お目当ては、同町で作られる波佐見焼です。
観光客:
「かわいいから、日常で使うと気持ちが明るくなると思います」
「軽いですね。食洗機も使用できる製品が多く、日常的に使いやすいと思います」

波佐見焼は約400年前に、庶民的な日常食器として誕生。元は白地に藍色で描かれたシンプルなデザインが主流でした。今は現代的なデザインにリブランディング。波佐見焼は近年、人気が急上昇しています。価格帯は2000円からとリーズナブルです。

波佐見町の観光の中心は西の原。敷地面積は約1200坪。100年前に建てられた製陶所を改修した雑貨屋のほか、焼き物屋、アクセサリーショップ、飲食店など10店舗が軒を連ねます。
西の原の仕掛け人が、波佐見焼の元卸、西海陶器の児玉盛介会長です。

記者:
「若い人など観光客が増えました?」
西海陶器 児玉盛介会長:
「驚くほど増えてきたよ。最初なんて産業の街だったから、『観光客は来るな!』と言っていた」
「有田焼」からの脱却 ブランド化で全国2位の出荷額へ

隣町は佐賀県有田町。波佐見焼は長らく有田焼として売られてきました。有田産は華やかなデザインの高級品。波佐見産は実用的な日常使いという特徴がありました。
しかし2000年代、産地表示の厳格化で有田焼と表記できなくなります。そこで波佐見焼としてゼロからブランド化。今では陶磁器の出荷額で有田焼を抜き、美濃焼に次いで全国2位のブランドに成長しました。
波佐見焼のブランド力の高まりとともに、西の原は陶磁器好きが全国から訪れる観光スポットに成長しました。そして、もう一つ観光客を呼ぶ仕掛けがあります。
地域の魅力を組み合わせた体験型観光と世界展開

西海陶器 児玉会長:
「グリーンクラフトツーリズムって、お客さまが来るような場所にしようと。ハブみたいな感覚で来てくれて、西の原が拠点になれば」
地域の産業と食などを組み合わせたエンターテインメント。西の原のお店では地元のお米を使ったおにぎり、手作り味噌を使った味噌汁を提供。農家の女性らが運営しています。

男の子:
「波佐見焼は料理に合う」

一緒に訪れたこどもも、お米を引き立てる波佐見焼に共感です。絵を描くのが苦手な人にも好評な切り絵付け体験。1500円からできます。
観光客:
「折り紙みたいなのを切って貼り付ける体験がここでしかできなくて。楽しいです!」

以前、窯場だった建物はボルダリング場に。よく見ると、グリップは波佐見焼です。
西の原では2025年12月、波佐見焼のアクセサリーや小物を販売する「ヒナコヤ」をオープン。若手作家の発表の場を作り、波佐見焼の将来を見据えます。
西海陶器 児玉会長:
「世界中に出て行け!と。そこで何か感じた人がUターンしてここに戻ってくるような、そういう場所を作るのが、私とすれば一番やりたいな」

日本経済新聞社 長崎支局 藤井太郎支局長:
「波佐見焼はアメリカやシンガポールなど世界展開しています。海外で生まれたデザインが日本に逆輸入されるなど、柔軟な発想でブランドイメージが広がり、ますます人気が加速しそうです」


