今年7月、名古屋市中区で、マンションから飛び降りた男に歩いていた女性が巻き込まれ、死亡しました。
「これは殺人だ」と訴える遺族。
両親は娘を巻き込んだ男と直接面会し、飛び降りた時の心境を問いただしました。
遺族「これは殺人だ」…適用された容疑は「重過失致死」

28日午後、名古屋地検を訪れた男性。
「娘は飛び降りた本人の命を守るために助けたわけでもなく、犠牲になったわけでもない」
父親を動かすのは、突然命を奪われた娘への思いです。

今年7月19日、午前1時ごろ。
娘の稲葉朋来さん(当時23)が名古屋・中区栄で友人と歩道を歩いていた際、隣接するマンションの11階から飛び降りた男に巻き込まれ、亡くなりました。

それから1か月以上がたった、8月。
警察は、中区の職業不詳・田口伸成容疑者(29)を、マンションから飛び降りた際に稲葉さんを巻き込み死亡させたとして逮捕しました。現在は、鑑定留置中です。
稲葉さんの父:
「何の落ち度もない、ただ友達と楽しく遊んで帰り道を歩いていただけの娘に当たって殺してしまったんだから、殺人だと思っています」
しかし、適用された容疑は「重過失致死」。
遺族は、「人が死ぬかもしれない」と認識し、「それでもかまわない」と受け入れて行為に及ぶという“未必の故意”による「殺人」での立件を求めましたが、かないませんでした。「殺人罪」は死刑、無期もしくは5年以上の拘禁刑ですが、「重過失致死罪」の場合は、5年以下の拘禁刑、または100万円以下の罰金と、大きく異なります。
9月5日、自宅で営まれた稲葉さんの四十九日法要。
稲葉さんの父:
「司法の判断の結果が出ていない今は、父親として許される時間がありますので、そこまでは“しっかりと父さんが頑張って訴えていくよ”と常に言っています」
両親は男と面会 「会うのが怖くてつらかったんですけど…」

両親は、留置場にいる田口容疑者に接見することにしました。
警察の調べに対しては、当時のことを「覚えていない」などと話しているという田口容疑者。
稲葉さんの父:
「下に人がいようがいまいが、死のうが死ぬまいがかまわない、と思って飛び降りたのか」
接見した際、遺族がこう問いかけると、答えは…。
田口容疑者:
「はい、そうです」
そして、遺族に対する謝罪の言葉も口にしたといいます。
稲葉さんの母:
「(田口容疑者と)会うのが怖くてつらかったんですけど…。朋来のためにもなんとかしないといけないから、私たちはこうやって頑張ってきて、朋来のためにも、朋来が納得するように頑張っていきたいと思います」
「殺人罪」の適用を求め…遺族はオンライン署名開始

遺族は、殺人罪の適用を求めて動き始めました。
賛同を求めるオンライン署名を開始。
1か月ほどの間に、約4万8000人から署名が集まりました。

さらに、事件が発生したのと同じ深夜に、家族で現場を訪れました。通行人の数を計測し、人通りの多さを自らの目で確かめるためです。
2時間足らずの間に、通行人の数は300人に達しました。
稲葉さんの父:
「予想以上に多かったというのが第一印象で、この時間でもこれぐらい『人通りがあって危険なところ』なんだというのを訴えたい」
毎週末、現場に足を運び、通行人の計測を続けました。
遺族「これは事故ではなく事件なんだ」

そして28日、通行人の計測結果と署名を、検察に提出しました。
稲葉さんの父:
「これは事故ではなく事件なんだと、正しく司法として判断してもらいたい。娘の無念を晴らしてあげたい気持ちが一番」
突然命を奪われた娘のために、残された家族は活動を続けます。


