
14年間止まったままの「浜岡原発」防波壁は海抜28mに 廃炉作業進む一方で…決まらない放射性廃棄物の行き場

東日本大震災以来、14年にわたって止まったままの「浜岡原発」。今はどうなっているのか。内部を取材しました。
【写真を見る】14年間止まったままの「浜岡原発」防波壁は海抜28mに 廃炉作業進む一方で…決まらない放射性廃棄物の行き場
静岡県御前崎市にある中部電力の浜岡原発は、長い間稼働していません。2011年、東日本大震災で起きた原発事故の約2か月後、国の方針を受けて浜岡原発は運転を停止。
以来14年にわたり止まったままですが、ここでは常時約2800人が働いています。核燃料を冷やすなどの維持管理、そして、廃炉作業もあるためです。
海抜22mの防波壁 さらにかさ上げ→海抜28mに
浜岡原発の発電機は1号機から5号機まであり、1号機と2号機はすでに運転を終了し、廃炉作業中。3号機から5号機が再稼働を目指しています。
すぐに目につくのが海沿いにそびえ立つ「巨大な壁」。
(大石邦彦解説委員)「無機質なコンクリートなので、より巨大に感じる」
総延長約1.6キロメートル、海抜22メートルの防波壁。元は18メートルで建てられましたが、2015年に4メートルかさ上げし、さらに今工事が行われようとしています。
(中部電力 浜岡地域事務所・榊原浩之さん)
「4メートルのかさ上げ部分を撤去して、上に10メートルの壁を追加する」
津波の高さを最大25.2メートルとする独自の試算を元に、防波壁をさらにかさ上げし、海抜28メートルにする計画です。全ては、津波の直撃を受けた福島第一のあの惨状を避けるため。そして、この防波壁も越える津波が襲った場合の"備え"も。
(大石)「緊急時のガスタービン発電機の建屋なんですね」
海抜40メートルの高台にある、ガスタービン発電機。福島第一原発の事故では地下の非常用電源が水没して使えなくなったため、原子炉のメルトダウン事故につながりました。核燃料の冷却は原発の生命線。それで高台に非常用の発電機を造ったのです。
14年間の運転停止で…社員の中には“全くの未経験者”も
一方、14年も運転されていないことで、新たな課題も。
発電所内にある研修センターでは、若手社員が原発の運転方法を学んでいます。
10年以上続く運転停止によって、原発のノウハウを知る人材は減り続け全くの未経験という社員が増えています。核燃料をどう扱うのか、非常時にどう対処すればいいのかのノウハウを継承していく。原子力発電を行う企業の「責務」ともいえます。
(大石)「技術の継承というのが一つ課題になっている?」
(浜岡原子力発電所 発電部・山田光輝 運転管理課長)「ノウハウ的なところはやっぱり口伝というか、先輩から後輩に伝えていく。運転している時の熱、それから音。再稼働した(他地域の)原子力発電所に、数週間単位で研修に行って体感してくる」
(大石)「着替えて、これからエリアの中に行くということになるんですね。初めてだな、ここまでやるのは」
“処分方法”決まるも…“処分地”決まらず
作業着に着替えてやってきたのは、廃炉作業が行われている1号機と2号機。中部電力は2005年に原子炉建屋に必要な耐震性の基準を引き上げ、それを満たすコストがかかりすぎるとして2009年に1号機と2号機の廃炉を決めました。
廃炉作業が始まって16年。今は国内の原発では史上初という"原子炉本体の解体"の段階に入っています。
(中部電力 榊原さん)
「開口部より向こうが格納容器の中。通常運転中は扉が全部閉まっていて、人が入ることができないエリア」
3月17日、中部電力はこの格納容器の中にある、圧力容器の蓋の解体に着手しました。
(中部電力 榊原さん)
「タービンを囲むケーシング(外装)の部分は取り外して一部カットされている」
最大のハードルが、放射性物質が付着した廃棄物です。放射線のレベルに合わせて3つに分けられ、約80%が汚染されていないコンクリート。約17%が健康への影響を無視できる放射線量が極めて低い金属やコンクリート。残る約4%、約2万トンに上るのが、原子炉本体に多く含まれる低レベル放射性廃棄物です。
(中部電力 榊原さん)
「最終的な処分の方法は決まっている。地中に埋設する。まだ処分地は決まっていない。処分地が決まるまでは、建屋の中でどこかで保管していく。その保管管理をしっかりやるというのが課題」
廃炉作業の完了は「2042年度」
こうした廃炉作業で出る放射性廃棄物の行き場は決まっておらず、敷地の中で保管することになります。また、使用済み核燃料は、一部は再処理のため海外に送られ、一部はまだ浜岡で保管されていますが、こちらも廃棄物になった後の最終処分場は決まっていません。
廃炉作業は2042年度までかかります。国内では廃炉が決まった原発が浜岡以外に22基あり、浜岡原発はこれから全国で始まるであろう、「廃炉ラッシュ」のゆくえを占うモデルケースになります。
(中部電力 榊原さん)「被ばくの可能性も十分ある。それを極力抑えるようにしっかりと対応管理する」
(大石)「ここで培ったノウハウは、これからの原発の廃炉にも繋がってくる?」
(中部電力 榊原さん)「原発の建設から廃炉というライフサイクルを確立して貢献していくことが、中部電力としてやらなければいけないこと」
原子力発電を使わなくても黒字が続いている中部電力。停止している浜岡原発の再稼働については。
(記者)「(原発停止中も)業績は好調だが、再稼働の必要性は?」
(中部電力 林欣吾社長)「これから伸びる需要に対して、安定供給していく。非常に現実的かつ大きな効果を持っているのが原子力発電だと思っている」
そしてことし2月、国はこれまで「依存度を低減」としていた原子力発電を「最大限活用する」と打ち出し、原発再稼働は国策として進められます。
そもそも使用済み核燃料から出る、いわゆる"核のごみ"の最終処分場は目処も立っていません。原発を“持続可能なエネルギー”とできるのか、その模索が続いています。