卵の価格高騰 今後の値段はどうなる?鳥インフルエンザ“厳重警戒” 養鶏場には「AI活用のレーザー発射装置」も

ことし愛知県の知多半島で相次いだ鳥インフルエンザ。感染はいったん収束しましたが、大量の殺処分が卵の価格高騰を招いています。養鶏業者の苦悩を取材しました。
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愛知県一宮市の浮野養鶏。ブランド卵「尾張の卵」を県内各地に出荷しています。
ここでは鳥インフルエンザの感染を防ぐため、厳重な対策が取られています。鶏舎に入れるのは限られたスタッフだけ。
全身を消毒してから中へ。約18万羽のニワトリが飼育されている広い鶏舎ですが、窓は一つもありません。ウイルスを持ち運ぶ野鳥や小動物の侵入を防ぐためです。
(従業員)
「うちの鶏舎は窓がない代わりに壁に空気の取り入れ口が3か所付いていて、菌がとどまらないよう、空気の入れ替えを常にできる仕組みになっています。鳥インフルエンザ対策で天井裏にフィルターを張っている。空気の取り入れ口にフィルターを奥まで張っている」
ウイルスが付着する可能性があるホコリの侵入にも気を配っています。
防犯カメラではなく…「AIを使ったレーザー発射装置」も
さらに建物の外壁に取り付けられた機器、これは防犯カメラではありません。
(浮野養鶏 山田和宏 社長)
「AIを使ったレーザー発射装置」
鶏舎に接近した野鳥に自動でレーザーを照射して追い払う最新機器も導入しました。これだけ感染対策をしても、なお不安だと言います。
(浮野養鶏 山田和宏 社長)
「常滑で、たくさんの同業者が(鳥インフルエンザの)被害を受けた。あすはわが身という感覚がある。普段以上に神経を使わざるを得ない」
ことし1月2日、常滑市の養鶏場で鳥インフルエンザが発生したのを皮切りに、周辺の合わせて13農場で相次いで感染が確認されました。殺処分されたニワトリとウズラの数は愛知県内では過去最多の約187万羽。
周辺農場への出荷などの制限は全て解除されましたが、心配なのはあまりに大量の殺処分で卵の供給量が減り、価格が高騰することです。
卵の価格はどうなる?夏頃まで高止まりするかも?
(浮野養鶏 山田和宏 社長)
「値段が少し高くなってきているので(卵を買うのを)控える消費者も出てきているのではないか」
卵の相場は1月から高く推移し、今月は1キロあたり335円。去年の同じ時期より100円以上高くなっています。
鳥インフルエンザの大流行で「エッグショック」と言われた2023年のように、夏頃まで価格の高止まりが心配されます。
そんな中、愛知県の大村知事は…
(愛知県 大村秀章 知事)
「愛知産のおいしい鶏肉と卵、ウズラを、ぜひ食べてもらって。厳しい立場にある養鶏農家を応援してもらえると、ありがたい」
近年、毎年のように日本国内で発生している鳥インフルエンザ。ニワトリの殺処分に伴う損失は国が補償しますが、飼育のやり直しなど再建に2年はかかると言われています。
対策の徹底を進めている浮野養鶏の山田社長はフランスが導入したニワトリへのワクチン接種のような根本的な対策が必要だと訴えます、
(浮野養鶏 山田和宏 社長)
「毎年毎年、毎日毎日が非常に精神的にも(きつい)。(感染の恐怖におびえながら)仕事をしていかないといけない。(行政には)どこかで、なんとかしてもらえると、ありがたい」
CBCテレビ「チャント!」2025年3月11日放送より