【どうなる日本の政党政治】公明党の連立政権からの離脱で専門家生直撃 政党が自らの役割を考える時代

公明党の連立政権からの離脱について、政党政治に詳しい名古屋外国語大学の高瀬淳一名誉教授に話を聞きました。

――公明党の連立政権からの離脱について、どのようにお考えですか。
「自民党と公明党は選挙で深く結びついていましたが、政治とカネの問題が公明党にも大きく影響を与え、最近の選挙で公明党は議席を減らすことになりました。自民党が第3、第4の政党と組んで連立を大きくし、安定政権をつくろうとしている中、『公明党は果たしてこれでいいのか』と。今まで一緒にやってきたけれども、いったん見直しをしたほうが良いのではないか、ということで、距離を置くという決断をしたのだと思います。いわば、公明党が自分自身を見直すために離脱したと理解しています」
――自民党、公明党、両党の選挙戦にも大きく関わってくる話題ですね。
「次の選挙がどうなるか分かりませんが、今の状況では多党化がますます進む可能性は高いです」
――公明党が自分自身を見直すことについて、各党が思うことはあるのでしょうか。
「野党のみで政権をつくることができる状況になったので、今まで立場をはっきりしていなかったところも、自民党について政権をつくるのか、あるいは野党の連立政権をつくるのかを決めなければなりません。
どのような形の政権構想をするのかを国民に示さなくてはならない時期になりました」

――少数政党で政治を動かすことについて、どう受け止めていますか。
「少数政党が拒否権を持って潰すと、少数決となり良くありません。少数政党は、これまでの既得権益、あるいは既成政党が持ち得なかった新しい意見を持っています。今の大きな与党や野党が新しい意見を組み込んでいくことで、多様な意見が反映されるようになり、プラスになると思います」
――少数の意見を反映させるために調整やすり合わせが必要になることで、これまでスムーズに決まっていたことが、決まるまでに時間がかかるなど、我々国民への影響もあるのではないでしょうか。
「間違いなく、時間はかかります。もちろん、国民にとって緊急を要することは、すぐに進むのかもしれませんが、長期的に考えたほうが良いことについては、意見のすり合わせに時間がかかりそうです。
しかし政治には、無理や妥協、あるいは無茶な要求、そして時には既存のものを壊して一からつくり直すといった役割もあります。行き詰まった社会状況を打破していくことからすれば、これを機会に優秀な政治家が出てきて、新しい政治の局面を切り拓いてくれることを期待したいです」
――これまでの日本の政治史を振り返ると、そうした局面はありましたか。
「“剛腕”といわれる政治家が既存のものを壊してみたり、新しいものをつくってみたり。野党が連立政権を組んだものの、うまくいかなかったり。さまざまな経験をしながら今に至っています。
歴史を踏まえれば、今後どのような政権が誕生するかわかりませんが、新しい政治家たちがさまざまな工夫をしてくれることを期待したいですね」