雪が降ったら東海道新幹線は止まるの? JR東海に聞いてみた 雨の場合は主に3つの基準がある
冬の時季に心配なのが、大雪による交通障害。旅行や帰省などの遠出に欠かせない新幹線ですが、「雪」によって運転を見合わせる基準などはあるのか、JR東海に聞いてみました。
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雨が降った時の運転見合わせ基準は主に3つ
まず、東海道新幹線は「大雨」が降った時に、運転を見合わせる可能性があります。JR東海は、東海道新幹線沿線などに雨量計を59か所設置しています。運転見合わせとなる主な雨量の条件は以下の3点です。
(1)1時間で60ミリ以上の雨が降った場合
(2)24時間の総雨量が150ミリ以上で、直近の1時間で40ミリ以上の雨が降った場合
(3)24時間の総雨量が300ミリ以上で、直近10分で2ミリ以上の雨が降った場合
これらの条件を1つでも満たした場合、運転を見合わせるということです。
また、大雨が降っている場所から遠くても、運転を見合わせることがあります。これは、駅と駅の間で長い時間列車が止まってしまうことを防ぐためです。もし新幹線が次々に発車し、止まってしまった場合、列車が詰まって次の駅までたどり着けず、乗客が長時間降車できない状態が続く可能性があるためです。
雪が降ったら…どうなるの?
では、雪が降ったらどうするのか?JR東海によりますと、東海道新幹線には「降雪量」や「積雪量」によって運転を見合わせる基準はないとのこと。ただ、雪が降った際、東海道新幹線は「速度を落として走行する場合」があり、遅れが発生する可能性があると言います。
なぜ、雪が降ると速度を落として運転するのか。その理由は「雪の舞い上がり」を防ぐためです。
線路に降り積もった雪が新幹線の高速走行で舞い上がると、車体の床下に付着し、冷え固まって「氷塊」となります。その後、新幹線が気温の高い区間に移動すると、「氷塊」が溶けて落下。すると、その弾みで線路内の石(バラスト)が跳ね上がり、車両の床下にある機器や地上の設備を壊してしまう可能性があるのです。
ただ、速度を落として走行していても、雪や氷塊が付着することがあります。その場合、新幹線が駅に停車した時に係員が雪や氷塊を取り除く作業を行います。
地震時でも、しっかりとブレーキかけられるように…
さらに、雨や雪への対策を強化するための研究も続けています。JR東海は、愛知県小牧市にある研究施設で、人工的に雨や雪を再現し、ブレーキ性能を高めるための試験装置を国内で初めて導入し、2022年から稼働しています。
東海道新幹線は地震の揺れを検知すると、ブレーキがかかる仕組みを導入していますが、その時に雪や雨が降っていると車輪が滑り、停止までの距離が長くなるという課題があります。その解消に向け、約28億円をかけてこの試験装置を導入。雪や雨などの気象条件下でブレーキを作動させてデータを集め、部品の改良や、雪が付きにくい車両などの研究開発に生かすということです。
とは言え、大雪や大雨が予想される場合は、予定の変更や、時間に余裕を持った行動が必要です。