
ゴーストタウンから“昭和レトロな商店街”へ…時代を超える『古くて新しい街の魅力』ディープな穴場感に新鮮味


かつて“ゴーストタウン”と呼ばれた商店街に、静かな復活の兆し。三重・津市の「大門商店街」は、昭和の面影を残しつつ、若者が集う店や撮影スポットが次々誕生しています。時代を超えて愛される“古くて新しい街”の魅力に迫りました。
■昭和の名残を感じる商店街
津駅から車で5分ほどの場所にある「大門商店街」は、シャッターが閉まった店が軒を連ねています。

商店街の広さは東西76メートル、南北34メートル。まるで迷路のように通路が張り巡らされ、メインの通りと並行するように2本の細い通りがあり、5分もあればすべて歩けるほどの規模です。平日の昼間に訪れてみると、営業しているのかどうか見分けがつかない店が並んでいました。 大門商店街 商業協同組合の担当者: 「半分以上が空き店舗。ここの通りで開いているのは3軒ですね」 73店舗中、現在営業しているのは35店舗。半数以上が空き店舗になっているといいます。

組合の担当者: 「昔はものすごい人でした。私らが若い頃は(津で)1番栄えていました」 大門商店街は、日本三大観音の一つとも言われる「津観音」のすぐ隣にあり、かつては門前町として参拝客で賑わっていました。昭和30年代ごろには、市内で最も多くの人が集まる繁華街だったといいます。 組合の担当者: 「“ゴーストタウン”って言われるぐらい歩いている人が減って…。シャッター街ですね」

平成に入った頃から、飲食店が現在の津駅周辺に移転。空き店舗が増え、地元では“ゴーストタウン”と呼ばれるようになってしまったといいます。
■狭い店内は満席…シャッター街に生まれた小さな変化
しかし、近年このシャッター商店街にも変化が見られます。メインの通りから1本入ったところに、おしゃれな看板のピザ店を発見。中に入ると、狭い店内は人でいっぱいでした。

2022年にオープンした「大門ピザ」。もちもち食感の自家製生地を専用の窯で焼き上げる「なすミート(Mサイズ)」(2000円)など、本格的なピザを提供しています。 大門ピザの担当者: 「(店のオープンについて)周りや親に反対されました。“こんなお化け屋敷みたいな所で”って」

なぜ、あえてこの場所でオープンに踏み切ったのでしょうか。 大門ピザのオーナー: 「外を歩いていると怖い雰囲気ありますよね。でも、この雰囲気が好きな人はいっぱいいる」 昭和のノスタルジックな雰囲気が心地よく、最近は訪れる人が増えているといいます。

常連客: 「いっぱい人が通るとちょっと…。逆に少ないぐらいがちょうどいい」 ディープな“穴場感”が、今どきの若い人たちには新鮮に映っているようです。 他の店を覗いてみると、カラオケ喫茶も表からは想像できないほど店内には人がいます。居酒屋も中はほぼ満席。商店街に来る人の多くは、目的の店が決まった常連客のため、表の人通りは少ないものの、ドアを開けると賑わっている店が多いのです。

中には、午前8時から満席の店もあります。2024年にオープンしたカフェ&バー「Madre」は、「鮭焼き魚定食」(1000円)や「国産黒毛和牛ハンバーグ定食」(1100円)、「グリーンカレー」(1100円)など、すべて手作りのこだわりの朝ごはんメニューが楽しめます。

客: 「水商売しています。チェーン店には定食はあまりない」 別の客: 「夜勤終わって、ここで食べる。ありがたいです」

この店は、夜の仕事を終えた人たちの憩いの場所になっています。
■昭和の香り漂う“大門商店街”で撮影会
大門商店街では、地元の写真館が撮影スポットとして使用しています。この日は、着物を着たファミリーが七五三の撮影をしていました。

父親: 「ノスタルジック、昭和を漂わせるところが好き」 母親: 「昭和レトロな感じがおしゃれ」 昭和レトロな雰囲気の商店街が着物に合うと訪れたといいます。

カメラマンの男性: 「今はスタジオで作り込めるけど、あるものをできるだけ使っていきたい」 作り物では決して出せない“リアルな背景”が、撮影スポットとして貴重だといいます。 昭和の面影が残る商店街に、新しい息吹が少しずつ芽生えています。 2025年10月6日放送