小学生の「黄色い帽子」に衝撃の事実 リボンに「男巻き」と「女巻き」が? 愛知発のロングセラーデザイン
長年愛されているデザインの中には、実は愛知発のものが多くあるのをご存じでしょうか。コーヒーのお供に、小学生が被る帽子、そしてイベントで使われる「いす」などです。なぜ、そのデザインになったのか、デザインの秘密について、中日BIZナビ編集部の大森編集長に話を聞きました。
「1人分サイズがほしい」消費者の要望に応え、今のデザインに
まずはコーヒーフレッシュのデザインについてです。コーヒーフレッシュも、愛知の企業が長年守り続けているデザインなんです。
名古屋市天白区に本社がある「スジャータめいらく」が50年近く前から採用している容器。発売当初は2・3人分のテトラパック型の容器だったそうですが、1人分サイズがほしいという消費者からの声に合わせ、発売翌年の1977年に、このデザインになりました。
容器が茶色になったのは1980年から。理由は、光の影響を軽減してフレッシュの鮮度を落とさないためです。長年、このデザインが引き継がれていますが、容器の素材にバイオプラスチックを使用して環境に配慮するなど、細かな改良や進化も遂げています。
通学帽のデザインは愛知発
続いて小学1年生がかぶる黄色い帽子。こちらのデザインも愛知発とされています。発祥に関しては諸説ありますが、先駆けの1つとされているのが、名古屋市熱田区に本社がある「林八百吉」の通学メトロ帽子です。開発したのは自動車の普及で交通事故が社会問題化していた1960年ごろ。林八百吉の協力工場の戸塚製帽所がデザインしました。
帽子のカラーは子どもの居場所がひと目でわかるように、黄色が採用されました。黄色といっても地域によって微妙に違いがあり、名古屋市教育委員会が採用する通称「名古屋色」が存在します。名古屋色は黄色が濃く、全国はオレンジ色が強いです。
さらに側面にはリボンがありますが、直線型の「男巻き」リボンの形をした「女巻き」の2種類があります。ただ、男女別で分けるのは今の時代に合わなくなっているとのことで、名古屋市教育委員会の場合は現在、シンプルな男巻きで統一されているといいます。
世界に誇るパイプいすのデザインも愛知が製作
最後に紹介するのは、体育館やホールなどで使用されるいす。皆さんも、一度は座ったことがあるのではないでしょうか。こちらも愛知発のデザインなんです。今回はデザインの秘密を企業に取材しました。
この折りたたみいすのデザイン、愛知県春日井市に本社を置く愛知株式会社が1963年に開発しました。当時の折りたたみいすは脚が左右で分かれていました。その後、脚を1本につなぐことでシンプルなデザインかつ、より強度が増したいすに生まれ変わらせたのです。
さらに14年後、1977年に開発されたのがスタッキングチェアです。
愛知株式会社 研究開発本部長 熊澤 工さん:
「もともと欧米で60年代に派生したカテゴリーでした。しかし当時は鉄パイプだったので、非常に重くて扱いづらかったんです。そこでステンレスパイプにすることで、軽量化を実現しました」
こうしたデザインは企業にとって重要性を増しています。
日本を代表するデザインアワード「グッドデザイン賞」を主催する日本デザイン振興会の担当者によると、「現代社会では単純な問題が減り、さまざまな要素が複雑に絡んだ問題が出てきています。そうした課題を解決する力となるデザインの重要性が増している」といいます。
デザインを工夫することで製品の認知度向上や販売促進につなげようとする動きは、今後も活発化するとみられます。