7月30日の太平洋岸に津波警報・注意報発令 津波の専門家が詳しく解説

名古屋大学の減災連携研究センターの富田孝史教授に、ロシアで起きた地震とそれに伴い発生した津波警報・注意報について話を聞いていきます。

――7月30日に津波警報が出た要因について教えてください。
今回はカムチャツカ地域において、マグニチュード8.7、8.8というような巨大な地震が起こり、それによって発生した津波が太平洋全体、そして日本にも伝わったのだと思います。
――もともと地震の規模を示すマグニチュードが8.0と発表されましたが、約1時間後にはマグニチュード8.7と変わりました。これはなぜですか。
詳しいところは分かりませんが、地震のマグニチュードが大きくなるというのはよくあることだと思います。特に、大きな地震ほどそのような傾向があったというのが、私の認識です。
――当初は津波注意報が三重県南部などに出ていて、それから1時間後に津波警報に切り替わり、愛知県外海などにも警報が出ました。この辺りもマグニチュードの数字が変わったことで、津波注意報・警報が変わったのでしょうか。
地震のマグニチュードは、まさにその地震のエネルギーを表している数字です。そのため地震のエネルギーが大きくなれば、それに伴って津波も大きくなるというメカニズムだと思います。

――津波警報が出たときの津波の高さ予想が愛知県外海では3メートル、田原市の赤羽根で観測された第2波の津波の高さは30センチメートルでした。このギャップについて、どのように考えればよいでしょうか。
観測値は30センチメートルでしたが、海岸によっては津波の集まりやすい場所もあります。そうなると、30センチメートルよりも超えて、例えば1メートルほどになってしまうような津波が襲ってくる海岸もあるのです。
――最初の津波が観測されたのが北海道の辺りで、午前10時半頃でした。かなりの時間が経過していても警報が出続けていて、警報が出ている時間の長さについてはいかがでしょうか。
今回は太平洋と非常に広い海を伝わっていく津波でした。そのため最初の第1波が伝わるのみではなく、どこかの海岸に1度当たり、それが日本にやってくる、なんてこともあります。非常に継続時間が長くなってしまうのが、遠くで起こった津波の特徴です。
――津波警報・注意報が発表されている間は、依然として津波のおそれがあるのでしょうか。
津波警報や注意報が続いている間は、高い津波が襲ってくる可能性はあります。第1波よりも第2波、第3波。さらには1時間後、2時間後に高い津波が来る、という可能性も十分あります。
(2025年7月30日放送「5時スタ」より)