
餅も価格高騰 “大福50円値上げ”の和菓子店「もち米の値段が倍に…」 どこまで値上がりするか見通し立たず “神社の餅投げ”にも異変

名古屋市昭和区の川原神社。1000年以上の歴史があるとされるこの境内で、毎年行われるのが「もち投げ」です。
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中には野球のグローブを持って参戦する人も…
(参加者)
Q.いくつ取りました?
「2個。でもちゃんとグローブで取れました」
Q.うわ、何コレ!10個くらい取れている。どうやってとった?
「袋を下に置いて、落ちてくるのをずっと待っていて…下に落ちた餅を入れた」
ほんの5分でまかれた餅の数は、なんと9000個!
(大石邦彦アンカーマン)
「私も頑張りました。10個ぐらい取れたかなぁ。とにかく下でおこぼれを待っていたんですよ。激しい。争奪戦…」
厄除け祈願で行われてきた伝統の神事ですが、ことし神社側は頭を悩ませています。
(川原神社 橋本鋼治総代長)
「量はちょっと減っています。正直言うと去年より」
餅の値段が上がったため、今年はまく餅を1000個減らしました。いつまで経ってもおさまらない米の高騰。もち米も値段が上がり続けています。
(橋本総代長)
Q.もちをまくという恒例の行事もやりにくくなっている?
「頭が痛いですね」
値段が上がり続ける「もち米」
川原神社にもちを卸している、町の米穀店へ行ってみると…
(お米の服部 服部純代表)
「(去年は)60キロ当たりの単価で3万円は切っていた状況だった。それが1万円以上単価が上がっている」
Q.4万円近い?
「4万円超えていると思います」
仕入れ値は、去年の1.5倍に跳ね上がったと言います。
店頭価格は以前、ひと袋1.4キロで1000円を切っていましたが、今年は…
(服部さん)
「1000円を超える金額になっている」
5キロあたりにすると約4000円。
(服部さん)
Q.新米の銘柄米よりは安いけど、もち米の価格は高い?
「そうですね。もち米は今も値段が上がり続けているので、このままいくともうちょっと上がる可能性もあるかと思います」
もち米の場合、そもそも流通する量そのものが、以前より減少しています。
主食用米を増やすため…「もち米」の生産量減少
一体なぜなのか。米農家を訪ねると…
(鍋八農産・八木輝治代表)
Q.もち米の状況は?
「もち米はかなり高騰していると聞きます。主食米より高いとも聞きます」
愛知県弥富市にある、農業法人鍋八農産。約127ヘクタールの規模で主食米を作っていて、ほぼ収穫も終わりつつあります。
ここでは餅の製造販売もしていて、今年は1.2トンのもち米も作りました。
(八木代表)
Q.令和7年「羽二重」と書いていますね
「愛知県産の羽二重です」
よそへ卸すことはありませんが、全国的には主食用米を増やすためにもち米の生産量は減っているといいます。
(八木さん)
Q.もち米が少なくて高くなっている理由は?
「全国的に見ると、もち米は加工用のお米と捉えるところもあるので、一部は加工用米を減らすと主食に転換すると聞くので、それで減っている可能性もあります」
長年続いた米の生産調整を見直し、増産に舵をきった国。しかし、耕作面積をすぐには増やせないため、今年は主食用米の作付を増やし、もち米などの加工用米は生産量が減ることに。
大福50円 おはぎ40円の値上げ…
米騒動のしわ寄せがきている「餅」。困っている人は他にも…。創業48年。大福で知られる名古屋の山田餅。
(山田餅2代目・山田さゆりさん)
「大福、おはぎ、おこわ。今の時期だと栗おこわもあるんですが、割と(値段が)上がりまして」
今月から大福50円、おはぎ40円の値上げに踏み切りました。
(2代目・山田さゆりさん)
「本来ならば、もち米の値段が倍なので、今までより倍の値段になるんですけど、1個大福が500円するようでは、ちょっと…」
2代目の山田則幸さん。毎朝、つきたての餅で大福などを作ります。
(大石アンカーマン)
「別物ですね、めちゃめちゃおいしい。口の中で、餅が引っ付くくらい粘り気がある。でも口溶けがいいから、舌の上でとろっと溶けていく」
この「出来立て」をお目当てに通っている人も。
(大石アンカーマン)
「こちらの大福、どういうところがおいしいですか」
(常連客)
「とろっとしたあんこと餅が、とけるみたいに食べられる。それがやみつきになっちゃって、朝一のこし餡大福が日課になっています」
「これだけの値上げは、私たちも心が本当に痛む」
使うもち米は、宮城県産の最高級品。それを1日に20キロ使います。
(2代目 山田則幸さん)
「数年前と比べたら倍近い。今使っているのは、令和6年度産なんです。去年作ったコメを使っている。7年度産はまだ出てきてない。市場に出てきていないので、どれくらい値段が上がるか分からない」
一番大事なもち米が、どこまで値上がりするのか。見通しがたたない不安が続きます。
(常連客)
「突然100円とか上がっていたら『おっ』って思うんですけど、ちょっとずつ何か月おきとかで上がっているから、そんなに意識したことない」
30年ほど店に通い続ける、90歳の男性は。
(常連客)
Q.おいくら買った?
「3000円くらい」
Q.値上がりは感じる?
「上がってますよ。年々上がっていますよね」
Q.値上がり受け入れて常連続ける?
「それは来られる限り」
一定の理解がある客が多いものの、それでも店側は。
(2代目・山田さゆりさん)
「本当に、これだけの値上げは、私たちも心が本当に痛む。品質を落とせば、お値段もそれなりの価格を付けられるけれど、やっぱりおいしいねって言っていただきたい。品質を落とさないようにするためには、どうしてもこのお値段の設定が必要になってくる」
わたしたちの“主食”の米 価格どうなる?
米はいつになったら安くなるのか。国はつい数か月前…
(ことし8月・石破茂前総理)
「増産にかじを切る」
50年以上、事実上続けてきた減反政策の歴史的な見直しを打ち出しましたが…今月就任した、農林水産省出身の鈴木新大臣は。
(鈴木憲和農水大臣)
「需要に応じた生産がなによりも原則であり、基本であると考えている。生産側からだけで増産をし続けることは、現実的には難しいと考えている」
二転三転のコメ政策。国民の主食はどうなるのか。新政権の方針も注意深く見ていく必要があります。





