車検不要・エアコン完備の「1人乗りEV」 1台約170万円 超コンパクトで維持費も安い 元トヨタ自動車のエンジニアらが開発

若者の“クルマ離れ”が進んでいますが、維持費が安く、サイズもコンパクトな新しい乗り物が間もなく登場します。元トヨタ自動車のエンジニアが作ったという車を取材しました。

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車といえば定員は、普通4人から5人。しかし国の調査では、実際乗っているのは平均1.3人。ほとんどの車は「一人乗り」で動いているんです。

こうした中、愛知発の新しい“乗り物”が!

細長いボディは、屋根付きの三輪バイクという感じ。曲がるときも、段差があっても、“超”安定。中には最先端の技術が詰め込まれています。

全長2.47メートル 幅97センチの三輪小型EV

愛知県豊田市の「リーンモビリティー」。元トヨタのエンジニアが率いるスタートアップ企業です。ここで開発されたのが…

(リーンモビリティー 谷中壯弘社長)
「こちらが都市型の小型のモビリティー、製品名『リーン3』という車」

ことし1月に発表された全長2.47メートル 幅97センチの三輪小型EV。バイクのように見えますが、ハンドルは車のような楕円型で、メーターはデジタル、座席は1つ。エアコンも装備しています。

目指したのは“原付バイク以上軽自動車未満”

開発を始めたのは2022年。

(リーンモビリティー 谷中壯弘社長)
「自動車は統計的にみると乗車人数が1.3人。少人数が移動するために大きな車を作って動かすというやり方を、この先100年続けていくのはよくないと思う」

目指したのは、“原付バイク以上 軽自動車未満”。家で充電できる「一人乗りの乗り物」。最高時速は60キロ。シンプルに見えて、実は姿勢制御に最新の技術が。

遠心力を可視化するために、車内にビー玉を置いてカーブを走ってみます。

まずは一般的な乗用車で時速25キロで急カーブすると…ビー玉は遠心力で外側へ転がります。これがスリップや転倒などの原因になるケースも。

しかしリーン3の場合…同じように曲がってもビー玉は少し動くだけで、再びセンターへ戻ります。

ハンドルを切るだけで車体が傾く

そして、片輪が段差に乗り上げても、ほとんど水平を保っています。車体は傾きません。その秘密が独自に開発した「アクティブリーン」技術。

(リーンモビリティー 谷中壯弘社長)
「幅が狭い乗り物だとコーナーリングしたときとか、段差を乗り越えた時に不安定になりがちだが、旋回時に内側にボディーを傾ける。ちょうどいい具合に舵を切るというのを全部(自動)制御でやるのがこのアクティブリーン技術」

ハンドルを切った瞬間にセンサーがどのくらい曲がるのかや、その時の「スピード」から車体にかかる重力を瞬時に割り出し、コンピューターが車体を最適な角度に傾けて、外向きの遠心力とバランスを取るのです。

ビー玉が偏らなかったのはこの技術のため。オートバイや自転車はカーブで自分の体を傾ける必要がありますが、リーン3はハンドルをきるだけで最適な傾きを実現します。

急ブレーキでも転倒しない

実はこの技術のルーツは2013年にトヨタ自動車が発表した、コンセプトカー「アイ・ロード」。

リーンモビリティの谷中社長は開発メンバーの一人で、この技術で誰もが乗れる優しい乗り物を作ろうと独立しましたが…はじめは失敗続きでした。

(リーンモビリティー 谷中壯弘社長)
「うまくいかなかったですね、最初は。車体が小さいということは従来の安定性では通用しない」

数千回に及ぶ試行錯誤の結果…曲がりながら急ブレーキをかけても安定して止まれるように。

(リーンモビリティー 谷中壯弘社長)
「決して転倒することはない。 安全で安定している」

“バイク王国”台湾が46億円を出資!

次の課題は、量産化に必要な資金でした。国内では集まりませんでしたが、この技術に注目したのが“バイク王国”台湾。台湾企業が46億円を出資しました。

車幅は普通自動車の約半分。1台分のスペースに2台止められます。

車内には、独自開発の超小型エアコンが完備され真夏でも大丈夫。

普通免許でOK 車検不要 充電は家のコンセントで

(笠置達哉記者)
「実際に試乗してみたいと思います。急カーブしても、非常に安定性がある」

航続距離は約100キロ。運転には普通自動車免許が必要ですが、車検は不要で、税金は原付バイク並み。家のコンセントで充電できます。

値段は1台169万8000円。年内には量産化の予定です。

(リーンモビリティー 谷中壯弘社長)
「次の100年に向けた新しいモビリティーのあり方。車単体ですべては解決しないが、まずコンパクトで、エネルギー消費の少ない、スペースもあまりとらない。そのような仕組みを含めて発展していくことが、社会に貢献できるやり方だと思う」

手軽で維持費も安い新しい形の「クルマ」。都市部でも、過疎が進む地方でも、新たな交通手段となる可能性を秘めています。

CBCテレビ「newsX」2026年3月3日放送より

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