車両2つをつなげた名古屋市の連節バス「SRT」。6月22日、新たに名古屋城を通る新ルートが発表されました。この長い車体を操るドライバーの技に迫ります。
【写真を見る】バック時はハンドルが真逆!? 全長18m 名古屋の新交通システム「SRT」を操る運転手 選ばれし10人のテクニック
ビルの間をすり抜けるように走る、全長約18メートルの車体。今年2月に運行が始まった、名古屋市の新交通システム「SRT」です。
運行から4か月が過ぎ、徐々に名古屋の町並みに浸透してきたSRT。しかし、この長い車体で大都市・名古屋を運行する裏には、運転手の熟練の技術がありました。
(SRT運転手)
「全く乗ったことなかった。常にアンテナを張ってバスを走らせるように、心がけている」
安全運行の裏側には、どんな努力が?SRTの運転手に密着しました。
9月11日から新ルート運行開始
名古屋の都心部を走るSRT、車体はメルセデス・ベンツ製。アーバンゴールドを基調とする洗練されたデザインで、最大122人収容できる輸送力も特徴です。今年2月の運行開始時には、多くの乗り物好きがカメラ片手に訪れました。
(1人目の乗客)
「東京にも連節バスはあるが、こんな都会を運行していないので、ぜひ1番手で乗りたいなと」
現在は、名古屋駅や栄など7か所の停留所を通るルートで運行しているSRT。このルートに加え、6月22日、名古屋駅太閤通口から柳橋中央市場や名古屋城など4か所に停車する新ルートが発表されました。運行開始は9月11日を予定しています。
(名古屋市 SRT担当 黒宮翔太課長補佐)
「名古屋に初めて来る人などに、『こんな乗り物あったんだ』と乗ってもらいたい。SRTを新しい名古屋の魅力として、名古屋の街をより知っていただく機会になれば」
SRTを運転するのはどんな人?
新ルートが発表され、今後は観光目的の利用などにも期待が集まるSRT。この長い車体を運転できるのは、熟練の技術を持った限られた運転手のみです。運転手の1人、石原毅さん45歳。バス運転手歴は12年です。
(SRT 石原毅運転手)
「最初は全く乗ったことがなかったので、慣れない部分が多かった」
SRTの運転手は、普段は観光バスなどを運転する名鉄バスの運転手。
(石原運転手)
「長さがあり死角も多いので、常にアンテナを張って 確認できる所は確認している」
運転できるのは“選ばれし10人だけ”
栄の広小路通りや名古屋駅の目の前など、市内でも特に交通量の多い道路を走るSRT。都市部ならでは難しさもあるといいます。
(石原運転手)
「路上駐車なども多いので、自転車や歩行者 飛び出してくる人などに注意している」
名古屋市もSRTが運行しやすいよう、以前は歩道を削るように設置していた停留所を、直進したまま横付けできるようにするなど、道路環境を整えました。
SRTを運転できるのは、1300人以上いる名鉄バスの運転手の中で、選ばれし10人だけ。本人の希望や運転技術などから、会社によって選抜されます。
(石原運転手)
「自分でも興味があって、結果的には会社から選んでもらった。(SRTは)名古屋の顔だと思っているので、それに乗れることは誇りに思う。これからもずっと乗っていきたい」
特に高度なテクニックが必要な「バック走行」
高度な運転テクニックが求められるSRT。中でも特に難しいのが「バック走行」です。営業運行中にバックすることはありませんが、洗車時や車庫に入れるときなどは、その必要があります。
長さ18メートルを超えるSRT。バック走行にはある理由から、高度なハンドル操作と絶妙なバランス感覚が必要だと、バス運転手歴11年の野口亮次さん(50)は語ります。
(SRT 野口亮次運転手)
「トレーラーと一緒で、逆ハンドルを切って下がる」
ハンドルの動きは「普通の車と全く逆」!?
SRTがバックする際、ハンドルの動きは「普通の車と全く逆」。普通の車であれば、ハンドルを右に切れば右にバックしていきますが、SRTの場合はハンドルを右に切ると連結部分から折れ曲がり、真逆に進んでしまいます。
そのため、ハンドルを逆に切り、前方車両で後方車両を押し込むようにしてバック走行を始める必要があるのです。
(野口運転手)
「元々は仕組みが分からないので、体で慣れてもらう感じ」
限られたスペースの車庫ギリギリ。吸い込まれるように、SRTが駐車されていきます。18メートルの長い車体が連結部分で折れ曲がりながら、一発でぴったりと収まりました。
確かな運転技術によって支えられるSRT。新ルートの運行で、名古屋の新たな魅力発信に期待が集まります。


