
フルタイムで働きながら世界の舞台を目指す 400mハードル小田将矢選手 異例ともいえる日々に密着

名古屋大学大学院出身で、技術者として働きながら競技も続けるハードルの選手。異例ともいえる日々に密着しました。

豊田自動織機でモーターの研究開発をする名古屋大学の大学院を卒業したエリート。陸上400mハードル・名古屋市出身の小田将矢(おだまさや)選手。
大学院のとき、学生の日本一を決める大会で2位。去年日本選手権の決勝に進出し、7位入賞を果たした30歳です。
「(400mハードルは)10回ハードルを完璧に越えないといけない。歩数の切り替えも完璧にしないといけないと考えて、完璧なレースをしようと思った時にそれを再現するのが難しい。難しいからこそやりがいがある」(小田将矢 選手)
ハードルの高さは約90cm。110mハードルと比べ15cm低いものの、10台を跳び越えながら400mを走る過酷な競技。大事なのは、ハードルを跳ぶ技術だけではありません。
午後6時、仕事が終わると職場から車で10分のところにあるグラウンドで練習。この日のメニューは、間髪入れず走り続けるインターバル走。ハードルを跳ぶ姿はありませんでした。
「ハードルを5~8台並べてがっつり練習をするのは(週に)1日か2日になっちゃう」(小田選手)
35m間隔のハードルを一定の歩数で走ることが大切な400mハードル。スピードを維持する力が鍵を握っています。
だからこそハードルを跳ばない短距離メニューも多くこなす小田選手。 ここで素朴な疑問が…。
Q.400mと400mハードル、どっちがきついか
「400mの方がきつい。走り方が400mハードル仕様になっているから、400mをただ走るより(400mハードルは)きつさを感じにくい」(小田選手)
フルタイムで働きながら競技を続ける環境を自ら選択

小田選手は5年前卒業した名古屋大学の大学院で機械システム工学を専攻していました。
Q.修士論文の題名を教えてください
「充填層ガス化炉での酸素富化空気によるバイオマスガス化。実験室規模で小さいガス化の設備で、木のペレットからどうやって工夫したら燃料として使えるガスを取り出せるかという研究」(小田選手)
大学院で学んできたことを生かすため、刈谷市にある豊田自動織機に就職。
「8時半から始業で、午後6時とか7時ぐらいまで働いて、日本選手権に出るとか決勝に残るみたいな人たちの中では、フルタイムでやっている人は僕の中では知らない」(小田選手)
残業もあり1時間しか練習できない日もある中、フルタイムで働きながら競技を続ける環境を自ら選択しました。
「仕事がおろそかになっていないのが彼の仕事ぶりを見ていると感じるので、頼もしい存在。すごく的確なアイデアを出してくれるので、非常に開発部署としては助かっている。引き続きどんどんアイデアを出してほしい」(グループマネージャー 猪飼健介さん)
「陸上をやっているからと言って、それを言い訳にして仕事をしないじゃなくて仕事もちゃんと頑張ろうと思っていて、上司に思ってもらえているのはすごくうれしいし、自分のモチーベションにもなる」(小田選手)
競技で目指すのは世界の舞台

滝中学、滝高校、名古屋大学と学業ではエリート街道を歩んできた小田選手。
しかし陸上では、全国大会に初めて出場したのが大学生と遅咲きでした。それでも去年、49秒21の自己ベストをマークするなど記録を更新し続けています。
「タイムを更新していこうと思った時に更新していくためのいろんな要素があって、やりこんでいくのに向いている種目と思っていて、そこが自分にとって魅力的」(小田選手)
5月に30歳を迎えた小田選手が狙うのは9月、東京で開かれる世界選手権の日本代表。400mハードルは ワールドランキングトップ100人の内14人を日本選手が占めるほど代表争いは熾烈なんです。
現在、日本人で8位の小田選手。技術者ハードラーが高きハードルを突破し、7月の日本選手権で初めての日本代表入りを狙います。
「世界選手権の参加標準が48秒50なので、そこを突破して記録以上に3位以内に入ることが大事だと思っていて、日本選手権で表彰台に上がることを一番大きな目標にしている」(小田選手)
(5月22日放送メ~テレ『ドデスカ+』じもスポ!より)