雨や地震が要因の亀裂が年月を重ねて広がる「進行性破壊」の可能性も 道路をふさぐ巨大な岩 岐阜

30日岐阜県多治見市で突然、土砂崩れが発生しました。地震もなく雨も降っていない中で、一体なぜ起きたのでしょうか?
車道をふさぐ巨大な岩。山肌がえぐれているのも確認できます。警察などによりますと、30日午後2時半ごろ、多治見市脇之島町の県道15号で土砂崩れがありました。
県道15号は、愛知県と岐阜県を結ぶ「愛岐道路」の名称で知られています。
「たまに利用する身近な道路なのですごくびっくりしている。つい先日もこの近くを通った」(道路の利用者)
「怖い、いつか自分も巻き添えになる可能性もあるかもしれない。仕事で来なければいけないので、運転は注意している」(道路の利用者)
道路を管理する多治見土木事務所によりますと、高さ約30mの斜面が崩落。
斜面から崩れ落ちた巨大な岩が「落石防護柵」と「ロックネット」の2重の柵を破り、道路を塞いだということです。
岐阜県によりますと、この土砂崩れに巻き込まれた車やけが人はいないということです。
「進行性破壊」が起きた可能性

発生当時の30日の天気は「晴れ」。地震が起きたという記録もありません。
地盤工学が専門の弘前大学、森洋教授は、岩盤の「進行性破壊」が起きた可能性を指摘しています。
「進行性破壊」とは、これまでの雨や地震でできた亀裂が年月を重ねて広がり、突然の崩壊につながる現象で、全国どこでも起こり得ると警鐘を鳴らしています。
30日、土木事務所の職員や専門家ら約10人が現地で調査を行い、発生源の特定などを進めています。
県道15号は、現在も通行止めになっていて復旧の目途は立っていません。
「進行性破壊」前兆がないケースが多く予見難しい

いったいなぜ起きたのか?地盤工学が専門の弘前大学・森洋教授に話を伺いました。
森教授は 「岩盤の進行性破壊」の可能性があると指摘しています。過去の地震や大雨で小さな亀裂が発生し、それが長い年月をかけてどんどん拡大。そしてある日突然、崩れ落ちる現象だということです。
岩盤の進行性破壊は、前兆がないケースが多く、予見が難しい特徴があるそうです。また、全国どこでも起こり得ることも特徴だとしています。
防ぐ方法としては…。
目視での確認が主流だということですが、調査の規模や頻度には限界があり、未然に防ぐには新たな技術が必要だと指摘しています。
今回の現場では、ドローンで上空から確認する様子も見られましたが、木が生い茂っていて地面を確認することが困難な場合もあるそうです。
今回の現場の付近で、また別の土砂崩れが起きる可能性についても聞きましたが、森教授は、地盤の性質は少し場所がかわっただけで変化している場合があり、判断するのは非常に難しいとしています。





