トヨタ系の自動車部品メーカーが1台4万円近いパソコンゲーム用のキーボードを開発しました。自動車部品に使われる最新技術を駆使したキーボードの実力とは。

世界中で競技人口が膨れ上がっている「eスポーツ」。コンマ何秒という一瞬の判断に応えるキーボードの性能は勝敗を大きく左右します。
価格が3万9600円と平均的なゲーム用のキーボードより1万円ほど高い「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」のシリーズ累計販売台数は7000台以上。特にプロのeスポーツの選手たちが注目しているといいます。一体なぜかというと、その感度のよさ。軽く触れているだけで、文字が入力されていきます。

作ったのは、名古屋市の北、大口町にある「東海理化」。トヨタ系の自動車部品メーカーで、特に高い技術を持つのがクルーズコントロールを調節するなどのような、安全安心に関わるようなスイッチ類。内蔵の磁石から出る磁気をセンサーで感知して装置を動かす、次世代スイッチと呼ばれる技術です。
その技術は、このキーボードにも使われています。一般的なキーボードは、キーを押し込むと、電気の通り道がつながって電気信号が流れます。一方、東海理化のキーボードはキーの一つ一つに磁石を内蔵。そこから出る磁気の強弱をセンサーが感知して、オンとオフを切り替えます。だからキーを底まで押し込まなくても確実に入力ができるのです。

右肩あがりで市場規模が拡大しているeスポーツ産業。キーボードの開発による、この業界への参入を企画したのはゲーム好きの若手社員でした。未知の市場への参入にあたり意見を求めたのはプロのeスポーツチームでしたが、選手たちの要求は無理難題ともいえるものでした。
東海理化 橋本侑季さん:
「反応速度は重視されてたんですけども、一緒に間違えて押したくない、誤爆をしたくない、Wのキーを押したいのに、Aのキーを触ってしまいたくないという注文がありました」
触れるだけで確実に入力できるが、押し間違いには反応してほしくない。相反する2つの要求に応えるため、開発したのが専用のソフトです。

「キーを0.1ミリ押すと入力、0.05ミリまで戻せば入力解除」とセンサーの反応距離を0.05ミリ単位で自由に設定可能。プロ選手の繊細なタッチには確実に応え、かつ設定外の入力には反応しないキーボードができました。

開発に参加したプロ選手のYoutube動画の中で選手らに感想を聞きました。
ZETA DIVISION crowさん:
「ここまで選手ファーストのデバイスを作るのって、ないですからね。これより性能が上のものを作れないんじゃないかって思うよね。無理そうだよね」
東海理化 橋本侑季さん:
「日本のメーカーで世界的にも認知されている(メーカー)ってないなって思いがあって、東海理化としてもともと持っている技術をこのキーボードに応用して作れば、日本のメーカーでもちゃんと信頼高く、ユーザーさんが認めてくれるキーボードが作れるんじゃないかなと」

現在は価格を抑えたコンパクトモデルなどラインナップを増やし、ゲーミングキーボード界でのシェア拡大を目指しています。
日本経済新聞名古屋支社 上原翔大記者:
「東海理化は、ゲーミングキーボードの他にも、乳幼児向け学習教材といった教育産業の分野においても、先進のスイッチ技術を使った新規事業に乗り出していて、2030年までに年間の売り上げを150億円にまで伸ばしたい考えです」


