
フィギュア松生理乃選手、オリンピックシーズンのフリーに選んだ「くるみ割り人形」 憧れの人と深いゆかり

24日から始まるグランプリシリーズ・中国大会。オリンピックを目指す東海地方の地元スケーター・松生理乃選手(21)に迫ります。

今年1月。卒業した南山小学校の「二十歳を祝う会」に華やかな振袖姿で参加した大学生。
「赤とピンクですごく迷ったけど、自分らしい似合う色はこっちかなって、ピンクにしました」
名古屋市出身、中京大学の松生理乃選手。
3カ月後に迫るオリンピックの日本代表候補として注目されているフィギュアスケーターです。
去年は、グランプリシリーズ2試合連続で表彰台に上がり、世界のトップ6人だけが出られるグランプリファイナルに初出場。躍進のシーズンを過ごしました。
世界で活躍する21歳も、リンクの外では普通の大学生。
特に一生懸命勉強しているのは、韓国語です。
「独り言とかを韓国語で話せるようになったらもっと上達するかなと思って、韓国語でちょっとしゃべってみたり、一人で頭の中で思い浮かべたりしている時もあります」(松生選手)
好きなことは真面目にコツコツ努力するタイプ。もちろんスケートでも、一途な努力家です。
遅咲きの努力家スケーター

実は、小学生の頃は地元の大会ですら表彰台に手が届かなかったほど、遅咲きの松生選手。
国際大会に出るようになってからも、けがや体調不良に悩まされ、実力を発揮しきれない日々が続きました。
「いいことがないっていうのがずっと続いてしまっていた。立ち直る時もなかったし、もうやめようと思っていた」(松生選手)
それでも続けてこられたのは、スケートが大好きだから。
日々努力を積み重ね、去年やっと世界一を争うグランプリファイナルの舞台に立ちました。
国際大会でも評価されている松生選手の武器が、柔らかいスケーティングと、優雅で軽やかな演技。
中学時代から続けているバレエのレッスンに、その秘訣がありました。
「ステップの1つだけのポーズとか、ひと蹴りとかだけでも、姿勢は変わった」(松生選手)
そんな優雅な身のこなしを生かすべく選んだオリンピックシーズンのフリーが、代表的なバレエ作品の一つ「くるみ割り人形」。
ただ、バレエ曲だからこそ苦労していることがあるようです。
「バレエは全部動きが決まっているので、バレエの先生にとっては少しでも動きがずれていると気になると思うし、今まで以上に一つの動きに対して言われる回数がすごく多くて、2倍くらい注意されているかも(笑)」(松生選手)
憧れの先輩も演じた「くるみ割り人形」

実は「くるみ割り人形」で、一躍有名になった大先輩がいるんです。
それは、松生選手が幼い頃から憧れてきた浅田真央さん。
初出場のグランプリファイナルで優勝を飾った名プログラムです。
「真央ちゃんもすごく小さいときからバレエをものすごくやっていた。真央ちゃんの『くるみ割り人形』はザ・バレエという感じで、バレエの動きがあっての振り付けになっていると感じる」(松生選手)
憧れの真央さんと同じ作品のプログラム。なんと、振付師も同じローリー・ニコルさん。
そんな世界的振付師が作った象徴的な振り付けが、「渦を巻くような技」。
「足がめっちゃプルプルしています。すごく難しくて、疲れている時だとうまくいかなくて転倒みたいな」(松生選手)
昨シーズンから取り入れられた動きは、松生選手のために考えられたもの。
「ローリー先生はずっと『リノ・マツイケ』と言っていて。技というか私の名前なんですけど、振り付けの時も『そこでリノやって~』とか言われて。自分にしかできない、私が初めてやったものを作ってもらえたのはすごくうれしい」(松生選手)
「リノ・マツイケ」を携え、2年連続のグランプリファイナルへ。今年は、去年以上に意気込んでいます。
「地元開催なので、出ることができたら今までお世話になったたくさんの方々に恩返しになると思うので、そこは目指していけたらと思います」(松生選手)
今年のファイナル開催地は、地元・名古屋のIGアリーナなんです。
一戦ずつ、着実に。まずはグランプリシリーズ・中国大会。
目標のファイナル、そして来年2月のオリンピックを見据えた戦いが始まります。
「スケートを始めてずっと目標がオリンピックで、今年は自分も行きたいという気持ちを大きく持っていけたら。大事なところをしっかり集中して、どの試合でもやり切ったと思えるような演技ができるように頑張りたい」(松生選手)