
大掃除と合わせてキッチンの対策を コツコツ防災(2)【暮らしの防災】

一気にやるのではなく、できるタイミングで少しずつ無理せずやっていく「コツコツ防災」、第2回は「キッチン」です。これから大掃除の季節です。そこで大掃除に合わせてキッチンの防災対策をすることを提案します。

食器棚・食器類、冷蔵庫、電子レンジなどの調理家電、調理器具、食料品など、色々なものがごちゃっとある(多くの家庭で)キッチンは、手をつけづらい場所です。そこで、年末の大掃除のタイミングで、防災対策をやってしまいましょう。大掃除&防災対策で一石二鳥です。
大掃除と防災対策「冷蔵庫」

実は、最も悩ましいのが冷蔵庫です。地震で倒れたり、下面についているローラーで動いたりする可能性があります。にもかかわらず、ボディが金属なので固定する効果が大きい転倒防止金具などをつけることができません。
倒れてきたり、動いて避難路をふさいだり、冷蔵庫の上に置いていたものが落ちてきたり、と心配のタネは尽きません。
【対策】
1、複数の固定対策が望ましい
■転倒防止用つっぱり棒(※設置箇所は奥(壁)側に)
■冷蔵庫用のストッパー
など、複数の固定対策で、倒れたり動いたりする可能性を低くします。
2、上に置いているものを撤去 地震の時に落ちてきたら危険です。
大掃除と防災対策「食器棚」

食器棚も心配です。冷蔵庫と同じようにつっぱり棒やストッパーなどで固定しましょう。これから買う場合は「引き戸タイプ」をお勧めしますが、「観音開きタイプ」の食器棚をお持ちの方も多いと思います。
この場合、揺れで開かないように扉に「耐震ラッチ」や「ストッパー」をつけましょう。
使用頻度が低いものは食器棚に入れず、箱やケースに収納して別の場所に納めましょう。そして食器棚には重いものを下の方に収納するようにしてください。重心が下がって倒れにくくなります。

棚板には「すべり止めシート」を敷いて、その上に食器を置きます。ここまではやりましょう。
食器の間すべてに、小さく切ったシートを挟むという徹底策もありますが、これはかなりの手間です。どのくらい徹底するかは、それぞれご判断ください。「自分ができるレベル」でOKです。完璧をめざすと「ちょっとね…」となる可能性があります。無理はしないでください。
扉にガラスが使われている場合は、ガラス飛散防止シート(フィルム)を貼るのもいいでしょう。万が一の時、キッチンにガラス片が飛び散るのを防げます。最近は、デザインが凝っていてオシャレなものもあります。
大掃除と防災対策「レンジまわり」

ガスレンジ、電熱線コンロなど、物が落ちてきて出火原因になる可能性がある器具の周辺は整理してスッキリさせてください。
因みに、都市ガスやプロパンガスはガスマイコンメーターが、地震の揺れを感知してガスをシャットダウンします。
緊急地震速報が出たり地震の揺れを感じたりしても「慌てて火を止めに行く必要はありません」。いずれにしても火力による調理機器は、熱くなった鍋やヤカンがひっくり返って火傷する恐れがあります。鍋やヤカンのケアは揺れが終わってからでOKです。
大掃除と防災対策「調理器具の耐震固定」

電子レンジ、トースターなど、固定しても使い勝手に影響が少ないものは、耐震固定器具や耐震ジェルマットなどで固定してください。
<刃物類>
言うまでもありませんが、地震の揺れで落ちてきたら危険です。普段から引き出しなどにしまっておきましょう。
<食料備蓄スペース>
キッチンに食料や飲料水の備蓄スペースをつくりましょう。まとめておくと、普段使い・ローリングストックも便利ですし、いざ!という時に持ち出しやすくなります。
備蓄食料の置き場所は、家の中で「持ち出しやすい複数の場所に」という、分散備蓄という方法もあります。大掃除の時に検討してみてください。
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被災地取材やNPO研究員の立場などから学んだ防災の知識や知恵を、コラム形式でつづります。
■五十嵐 信裕
東京都出身。1990年メ~テレ入社、東日本大震災では被災地でANN現地デスクを経験。報道局防災担当部長や防災特番『池上彰と考える!巨大自然災害から命を守れ』プロデューサーなどを経て、現ニュースデスク。防災関係のNPOの特別研究員や愛知県防災減災カレッジのメディア講座講師も務め、防災・減災報道のあり方について取材と発信を続ける。日本災害情報学会・会員 防災士。





