20年ぶり“新知事”は岐阜をどう変えるのか 合気道で県民の「流れ」を生かす!? 江崎禎英氏が掲げた「10の目標」とは
岐阜県知事選挙が2025年1月26日、行われ、江崎禎英(えさき よしひで)さんが当選しました。20年ぶりの新知事となる江崎さんに、岐阜をどう変えるのか、課題や政策を聞きました。 岐阜県知事選で初当選を果たした、元・経産官僚で岐阜・山県市出身の江崎禎英さん(60)は、5期にわたって続いた古田県政から、20年ぶりの新人対決となった今回の選挙で、各主要政党の支援を受け、共産党推薦候補を大差で破りました。
20年続いた古田県政から岐阜をどう変えるのか、当選を決めた直後の江崎さんに聞きました。 Q.古田県政から変えることは 江崎禎英さん: 「教育や福祉ですね。これだけ少子化が大変だと言っているときに、不登校の子供たちの居場所を作ったりとか。農業も実はそこに絡んでいて、土に触れるとか動物のふん尿に触れるというのは、子供たちの免疫力を高めるのに非常に大事なことなんですよ」
4年前の知事選に初出馬して古田知事に敗れ、この4年間、県内を回り続けた江崎さん。強く訴えたのは「教育」改革です。 江崎さん: 「4年間で不登校の子供たちのフリースクールに行ってきました。まず間違いなく言えることは、不登校になる子はみんな真面目な子です。子供たちがおかしいのではなくて、社会がその子供たちを学校に行けなくしてしまっている」 Q.不登校への具体的な対策は 江崎さん: 「実際に県内でもすでに始まっている例があるんです、異年齢学級というのがあって。3年生が1年生に教えるだとか、1年生から3年生まで一緒に体育をやるとか、そういった活動ですね」 Q.横割りではなく縦割りのクラスを作る 江崎さん: 「そうです。例えば、3年生で落ちこぼれの子は4年生でも5年生でも落ちこぼれていくんですけど、同じクラスの中に1年生がいれば、3年生の中では目立たない子でも、1年生に対してはリーダーになれる。実際に(小学校に)行った時に、その子が何と言ったかというと『先生、子供って無限の可能性があるんですね』って、まさに彼自身が気付くんです。そうしたことで自分のできることを発見する、それが生きる力につながっていくと思っています」 子供の未来をつくると意気込む江崎さん。元官僚で少し固い印象もありますが、岐阜県山県市の「田舎で生まれ育った」と語り、月に1回は「畑仕事」をするといいます。
Q.畑仕事をよくやる 江崎さん: 「田舎なものですから、生まれた頃からこの土地を守れと言われていて、国に行ってからも毎月1回は必ず東京から帰って、ほとんど草刈りですけどね」 そして、大学から始めた合気道は6段の腕前です。 Q.合気道と政治、通じる所はありますか 江崎さん: 「もちろんです。合気道の場合はとめたり殴ったりという攻撃技はありません。その代わりに『流れ』を生かしている、相手と同じ視点で見るんですよ」
選挙戦では県民参加型の「政策オリンピック」を掲げました。 江崎さん: 「政策オリンピックと言っているようにですね、自分の意見によって世の中が変わるんだという体験をしてもらいたいと思っています」 県民からアイデアを募って優れた政策を選ぶ「政策オリンピック」は、自分の視点だけでなく、県民の“流れ”をいかす施策ですが、選挙戦では「10の目標」を掲げたものの、“公約”であるマニュフェストは示さず、「争点が見えなかった」という指摘もあります。実際、投票率は36.21%と過去2番目の低さでした。 江崎さん: 「多くの人が『自分が行かなくてもいいんじゃないの』『変わらないんでしょ』ということが、投票率に表れてくるんだと思っています。特に若者が政治に関心がないというのは当然で『誰がやっても変わらないんでしょ』『自分が動いたって変わらないんでしょ』というのが、こういう投票率になっていると思いますので、それはこれからの課題だと思っています」
江崎さんが配っていたチラシには「10の目標」と書かれ、子育て対策や農業・経済などについての目標が掲げられていますが、そのチラシには目標実現のために「県民のみなさまからアイデアを募集し、優れた政策を選びだす『政策オリンピック』を実施する」という記載があります。 政策を県民に考えてもらうというスタイルですが、政治哲学が専門の萱野稔人さんは、今回は自民、立憲、国民、公明の主要政党が支援する江崎さんと、共産党が支援する候補との一騎打ちだったことで「政策論争が深まらなかったと思っている県民も多いのではないか」と話し、「岐阜県も他の地域と同じで課題は山積み。どんな課題があるかを示して、そこに対して具体的な政策を早く示してほしいと思う」と指摘しています。 県民の声をいかす県政運営ができるのか、手腕が問われる江崎県政は2月6日に始まります。