外国人労働者の受け入れ体制「中途半端にすると懸念事項出てくる」専門家指摘 言語面サポートなど拡充必要

労働に関わる法律について学ぶ講座が愛知県豊田市で開かれました。対象はブラジル人学校に通う高校生です。
講師:
「雇用契約は雇用主と労働者間の合意。両者は同じ立場にある」
労働に関する法律について教える講師が話すのはポルトガル語です。11月12日は愛知県豊田市にあるブラジル人学校に通う高校2年生と3年生約60人が参加しました。外国人労働者の届け出が義務づけられて以降、愛知県では2024年10月末時点で過去最多の23万人弱の外国人が働いていて、その約19%がブラジル人です。
日本語が不自由なことで給与や労働時間などの詳細がわからず、トラブルが起きたという相談が多いことから、愛知労働局が今回の講座を企画しました。参加者は正当な理由のない解雇は認められないことや、地域別の最低賃金などについて学んでいました。
卒業後日本での就職を考えている参加者は:
「契約の部分とか、日本語が分かっていないときに、何が書かれているかよく分からなくて不安になることがある。(働くときは)給料の(条件など)部分に気を付けたい」
愛知労働局 労働基準部 中嶋智成監督課長:
「各種機関に相談できると知ってもらい、職業人人生を実りのあるものにしてほしい」
韓国やドイツでは外国人労働者への「言語面でのサポート」
行政が外国人労働者をサポートする取り組みを進める一方、こんな指摘をする専門家がいます。
関西国際大学 毛受敏浩客員教授:
「外国人労働者に来てもらわないと、あらゆる産業分野で人が足りない現状にすでになっている。日本として外国人労働者をどういう形で処遇して、どういう形で支援して、どういう形で社会に溶け込んでもらうべきなのかという議論が十分されていない。そういうことをしっかりやらないと、中途半端な形で(外国人労働者が)増えてくると、いろいろ懸念されている事も将来起こりうるだろう」
外国人との共生社会づくりに詳しい関西国際大学の毛受敏浩客員教授です。中でも必要なのは言語面でのサポートだといいます。
関西国際大学 毛受敏浩客員教授:
「例えば韓国では、外国人労働者に対する韓国語教育を国が予算を付けて全国に教室をつくり、そこで資格を持った先生が教える体制が出来ている。またドイツでは、国がものすごい予算を組んでドイツ語教育をやっている。しかもそれを受けないと、ビザの更新をさせないという。日本も外国人の受け入れを政府が進める中で、日本語教育をどこまで熱心に予算を使ってやるかは十分に議論されていないが、必要だろう」
「一時的な労働者という時代は終わった」
また、企業の外国人労働者に対する考え方を変えていく必要があると指摘します。
関西国際大学 毛受敏浩客員教授:
「まだまだ一部の企業では、外国人労働者は景気のいいときに来てもらって、景気が悪くなれば帰ってもらえばいいと、ストレートに言うと都合のいい人材という形で考える企業が多かったと思う。ただこれからは、社会の中核、企業の中核で働いてもらう人材として育てていく必要がある。給料も日本人と同等でしっかり社会で家族を形成して地域の一員として活躍してもらうような、一時的な労働者でしばらくして帰ってもらえばいいという時代は終わったと考える必要がある」





