回転ずしの成長を支えている、石川県の企業を取材しました。漆器の産地で磨かれた絵付け技術が、見た目の美しさだけでなく、すしの味わいまでも引き立てています。
シェア7割!回転寿司の「皿」で日本一を誇るタカノクリエイト

寿司の激戦区、石川に本部を構える人気の回転寿司チェーン。美味しそうなお寿司に目がいきますが、寿司が乗るお皿も色とりどり。さまざまな模様があります。

もりもり寿司 イオンモール新小松店 山口直大さん:
「お寿司がおいしく見せられるという面では、お皿の力は絶大です。能登の荒波や金沢らしい梅の花などをイメージして、お客様に楽しんでいただけたらと思い使わせていただいています」

かつて回転寿司と言えば、シンプルなデザインの皿に寿司が乗り、レーンを回転していました。ところが今では、独自にデザインした鮮やかな皿を使う店が増えています。

この回転寿司の皿を作っているのは、同じ石川県にあるタカノクリエイト。

国内シェア7割!回転寿司皿の生産で日本一の企業です。売上高は過去最高の16億円を記録。

その工場へ行きました。特徴はオーダーメイド。回転寿司チェーンからの細かな要望に応え、皿1種類を100枚から生産します。

タカノクリエイト 小西広大社長:
「自動化が進んでいるこの時代でも、手作業にこだわってものづくりをさせていただいています。少量多品種にこだわってものづくりすることが、お客様に喜んでいただける一番重要な点だと思っています」
手作業と伝統技術「シルク印刷」で年間400種類のデザインを表現

皿作りは手作業。1枚1枚注文に合わせて色を吹き付けていきます。

乾燥させた後は、石川で盛んな漆器産業で1960年代から使われるシルク印刷を行います。

シルク印刷は、メッシュ状のスクリーンにインクを透過させて転写、模様を印刷する技法です。1枚の皿にシルク印刷を数回繰り返すことで、複雑な模様を表現。店舗側や利用客が望む皿を作り上げます。

年間400種類以上のデザインを手掛け、100万枚以上を出荷しています。
木地屋から転身 軽量でエコな「PET樹脂の皿」で業界トップへ

タカノクリエイトは、漆器のもととなる木を削り出す木地を作る会社が始まりでした。

その後、プラスチック樹脂の皿に業態を変更し、2006年(約20年前)に回転寿司市場へ参入しました。その頃の皿はメラミン樹脂。割れやすく重い皿です。さらに廃棄する際も燃やすことができませんでした。

そこで開発したのが、ペットボトルなどと同じ原料のPET樹脂の皿です。軽量で割れにくく、リサイクルもしやすい環境型の皿となったのです。

さらに、同じ石川県にある回転寿司コンベヤー国内首位の石野製作所と協力。

レーンに合わせた皿を共同で研究するなどして成長してきました。
地場産業の強みを生かし「一般家庭向け」新ブランドへ挑戦

日本経済新聞社 金沢支局 湯川香東記者:
「伝統と技術革新を融合した回転寿司皿のように、石川県にはニッチな分野でトップを走る企業が多くあります。その中には回転寿司コンベヤーなど回転寿司を支える関連産業も含まれ、それらの産業が密に協力し合うことが、石川県の回転寿司の強みにつながっています」

タカノクリエイトは2026年の春、一般家庭向け市場に参入。食器の新ブランドを立ち上げ、売上高の拡大を狙います。

タカノクリエイト 小西社長:
「伝統的な漆器の技術を後世に残していけるような取り組みを積極的に行いたいです。それが、回転寿司の成長につながる一助になればなと考えています」


