「ここで起きたらシャツが燃えているから。シャツが半分燃えた。火のついたもの、分からないものを入れられて、脱ぐので精一杯だったから何かは分からない」
こう話すのは、名古屋市内の歩道橋の下で10年以上路上生活をする、87歳の伊藤さん(仮名)。

みると、伊藤さんの左腕には、痛々しい「やけどの傷」が。
その火の気は、思わぬところから来たのです。
布団をめくられ…突然、着ていたTシャツが燃える

2026年6月19日、深夜3時前。
伊藤さんが歩道橋の下で寝ていると、2人の男に突然、布団をめくられ、着ていたTシャツの中に“火のついた何か”を入れられたといいます。
伊藤さんが慌ててTシャツを脱ごうとする中、男達は他の者が運転する車に乗りその場から逃走したというのです。
Tシャツの胸や腹のあたりが燃え、伊藤さんは左腕をやけどしてしまったといいます。
■伊藤さん(仮名)
「もうシャツがどんどん燃える…自分は脱ぐのに精いっぱいだから」
現場から見つかったのは…花火の燃えカス

警察は、伊藤さんにけがをさせたとして、名古屋市西区・無職の男(22)と17歳の少年を、逮捕・送検しました。
現場から見つかったのは、花火の燃えカス。
警察は、2人が花火で火をつけたとみて調べるとともに、19日の事件以外にも同様の行為を複数行っていたとみて捜査しています。
襲撃は…「若い子が続けて来た」 共に生活する男性の布団にも花火投げ込まれる

伊藤さんも、襲撃を受けたのはこの日だけではないと話します。
■伊藤さん(仮名)
「6月13日・16日・19日と若い子が続けて来た。13日にはBB弾と花火を投げ込まれて、1時間ぐらいやられた。16日には缶などを投げられた」
「この年齢じゃ動きもとれないし、もう足も弱ってきているしね。目も僕はほとんど見えないんだわ」

さらに、6月16日には、同じ場所で共に生活する別の男性の布団にも、火のついた花火を投げ込まれたといいます。
■別の路上生活者の男性:
「16日にここで寝ていたら、若い子が2人来て、花火を放り込んで向こうへ逃げていった」
“路上生活者の7割ほどが襲撃を受けたことがある” 過去には被害者が死亡する事件も…

事件後から毎日、伊藤さんの元へ通うのは、名古屋市内を中心に路上生活者の支援を行う「野宿者を支援する会」の、代表・東岡牧さん。
看護師でもある東岡さん、慣れた手つきで薬を塗り、包帯を巻きます。
■「野宿者を支援する会」東岡牧 代表
「この内側のところがかなりじゅくじゅくしていて、毎日きれいにしてお薬を塗っています。これも、やけどで真っ赤っかだったけど良くなっている」
東岡さんによると、路上生活者の7割ほどが物を投げられるなどの襲撃を受けたことがあり、そのほとんどが 子どもや若者からだといいます。
2020年3月には、岐阜市で路上生活者をしていた男性(当時81歳)が、少年(当時)2人に暴行を受け、死亡する痛ましい事件も。
しかし、襲撃者が誰なのか、その身元がわかり、指導などにつなげられる例ばかりではありません。支援者にとって、特に行動範囲が広がる高校生以上の世代は対処が難しく、被害者が泣き寝入りとなってしまう現状があるといいます。

■「野宿者を支援する会」東岡牧 代表
「子どもや若者から路上生活者への襲撃があるとその都度、現場に行って確認して、名古屋市教育委員会に連絡をしてすぐに調査をしてもらいます。いたずらをした子どもが誰か分かると、親御さんと一緒に被害を受けた路上生活者の人に謝りに行ってもらうなど、市と連携して指導につなげてきました」
「こんなに大きなけがとなった襲撃は久しぶりですし、今回のように相手が子どもではなく無職の青年とかだと、どの機関とどのように再発防止に向けた対応をしていくかが難しいんです」
「人の命がもしかしたらなくなるかもしれないような、襲撃は本当にやめてもらいたいです」








