
家の中に“盗聴器” 電子レンジの後ろやテレビ裏から…心当たりない人も「誰が何のために?」被害の相談増加

人のプライバシーを狙う盗聴行為、実は今被害の相談が増えています。街に飛び交うナゾの電波をたどっていくと次々に見つかる盗聴器。その実態を追いました。
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名古屋市守山区の探偵事務所・さなだ総合リサーチ。代表の眞田弘之さんは警察庁の元職員。2008年に行われた洞爺湖サミットでは要人警護の通信システムを担当した、電波のプロフェショナルです。
(眞田弘之さん)
「(最近の盗聴器は)周波数も増えてきて、アンテナもたくさん必要になってきた」
車に6本の高性能アンテナを取り付け、車内には電波と音声受信機をセット。まずは名古屋市内のオフィス街を捜索することに。
盗聴電波によく使われている周波数帯を探すと、すぐに…
(眞田さん)
「少しずつ(盗聴電波が)上がってきています。このエリアに最低(盗聴器が)3つある」
住宅街でも“盗聴器”の電波確認
捉えた電波を「音」に変換すると、聞こえてきたのは…
(眞田さん)
「話し声が聞こえますね」
この近くの会社の電話番号を調べ、電話してみると…盗聴器が電話の着信音を拾いました。社長に盗聴器の存在を伝え取材を依頼しましたが、その後連絡はとれませんでした。
(眞田さん)
「何も回答がないとなると、社内の身内の人が(盗聴器を)つけている可能性もある」
犯罪にはあたらないまでも民法のプライバシー権や人格権を侵害する可能性のある盗聴。住宅街でも…盗聴器の電波を確認。
すぐに電波の発信場所が特定されました。住民に事情を伝えると…
(女性)
「え!うちが?うちが特に?」
テレビを見ていた80代の女性。まずはその音を車内にある音声受信機で確認してもらうと…
(ディレクター)「(お宅の)テレビの音ですか?」
(女性)「そうですね。でも怖いね」
電子レンジ付近から“ハウリング”
以前会社を経営していたという女性が暮らす、一軒家。この家は以前何度も空き巣被害に遭い、現金や貴金属などを盗まれたといいます。
(女性)
「3回目(の空き巣被害)は、金庫からブランドのカバンとか全部(盗まれた)」
調査開始。信号音を鳴らし、家具の一つ一つに近づけていきます。そして…電子レンジあたりから、盗聴器と受信機が近づいた時に起こる「ハウリング」と呼ぶ共鳴音が。
電子レンジの後ろのコンセントにささっていた「三角タップ型」の盗聴器。
中には隙間なく電子部品が組み込まれていました。
(ディレクター)「心当たりは?」
(女性)「 全くないです。なんか怖くなっちゃった」
なぜ家の中に盗聴器が仕掛けられていたのか。眞田さんによるとこんな可能性も…
(眞田さん)「もしかすると、最初(空き巣が入った時)に(盗聴器を)つけられて、その後ずっと(盗聴器で)在宅確認していたかもしれない」
調査の依頼は、引っ越しが増える3月から4月にかけてが1年で最も多いといいます。
日が暮れた後、夜の住宅街でも…
今度はテレビ裏から…誰が何のために?
(眞田さん)
「(盗聴電波が)上がってきましたね。もう少し先まで行ってください。ストップです。ここで音を聞いてみましょうか」
「何かの音楽が聞こえていますね。女性と誰かが会話している声も聞こえるので、もう1人いるかもしれない」
最も電波が強く反応する場所は、中層階のマンション。
住民の許可を得て家の中を調査開始。まず音声受信機をテレビの裏に近付けていくとすぐさま…ハウリング。
仕掛けられていたのは「三角タップ型」の盗聴器。中にはやはり電子部品が…
(住民)
「不法侵入か…怖いですね」
「現実味がないですね」
Q.心当たりは?
「ないですね…」
誰が何のために仕掛けたのか、想像がつかないという男性。
決して他人ごとではない「盗聴被害」。
今、この瞬間にも盗聴電波は、確実に街中に飛び交っています。