政府が一部の党で協議を始めた、飲食料品の消費税減税。しかし、減税しても物の値段が下がらない可能性があるそうです。一体、どういうことなのでしょうか?
【写真を見る】“消費税ゼロ”になっても…108円が100円になるわけではない!? どうなる食料品価格 税理士「丸々下げたら赤字に」
(高市早苗総理 2月26日)
「給付と負担のあり方などについて、全世代を通じて納得感が得られる社会保障の構築に向けた、国民的な議論を進める必要がございます」
2月26日、いよいよ始まった消費税減税に向けた超党派の国民会議。お酒を除く飲食料品の消費税を、2年限定でゼロにする目標を掲げ、早期の法案提出を目指します。
“消費税ゼロ”どう思う? スーパーの買い物客は…
そこで、愛知県の刈谷市と知立市に3店舗を構える、スーパー「ヤオスズ」で話を伺いました。
(買い物客)
Q.たくさん買いましたね
「孫の分まで買っているので」
Q.お孫さんはいくつ?
「高校生と大学生」
娘さんと合わせて、2カゴ分の買い物をしていたお母さん。一週間分の買い物の合計額は…1万8233円、消費税が1457円。
(買い物客)
Q.これだけ買うと消費税気になる?
「ない方がいいよね」
Q.“飲食料品の消費税減税”について話し合いをしているが?
「いいと思うけど、話し合いばかりで先に進まない。先にやれよ!って言いたくなっちゃう」
(買い物客)
Q.消費税8%→0%になるとありがたい?
「その時はね。でも2年くらいでまた戻るんでしょ?他の物に転嫁されないかが心配」
食料品価格は下がる?
値段表示やレジシステムの変更が、店にとって大きな負担となる中、食料品の消費税がゼロになったら、値段は下がるのでしょうか?
(ヤオスズ アップティー店 山口智伊店長)
Q.消費税分を値引きしなくてもいいわけですよね?
「でも、それはお客さんにとっては高くなったと感じてしまうのでは。うちでは、そういうことはしないです」
食料品の消費税がゼロになった場合、こちらのスーパーでは8%の消費税分は取らず、単純に値下げする方針だそうです。
税理士「丸々下げたら赤字になってしまう」
しんせい綜合税理士法人の浅野洋税理士に聞くと…
(しんせい綜合税理士法人 浅野洋税理士)
「消費税分だけ物価が下がるという風にはならないだろうと、どこの事業者も言っている」
Q.108円の物はいくらくらいになる?
「105円くらいじゃないか。電気・ガソリン代などは(消費税が)10%かかる。差し引いた残りで108円で売っている訳だから、8円の中には食品以外の消費税分も入っている。(消費税分)丸々下げたら赤字になってしまう」
物価高や人件費の上昇を価格に反映してこなかった店では、消費税分に近い値上げをするところが出てくるのではという見通しも。
“食品消費税ゼロ” 2年後は…「しばらく物が売れなくなる」
さらに、スーパーではこんな懸念も…
(山口店長)
Q.食品消費税ゼロは2年間限定だが、次はどうなると思う?
「前に(消費税が)5%→8%になった時も結構反動があったので、(2年後に)0%→8%になるのは、お客さんはすごい上がったなと感じると思う」
Q.大増税した実感になる?
「しばらくは物が売れなくなると思う。その時にこそ、政府が何か“景気刺激策”を考えていただいた方がいい」
変わらず10% 外食業界にも影響?
そして、10%の消費税が今まで通り変わらない外食業界では…
昔ながらのチキンライスに、ふわふわ卵が自慢のオムライス専門店「エッグボード」。愛知と岐阜で9店舗展開しています。
食料品減税の影響でよく言われるのが「外食離れ」ですが、実は別の心配があるといいます。
(オムライス店などを経営 加藤大輔社長)
「一瞬助かる風に見える。都度払っていた分がなくなるだけで、後からまとめて払うのには変わりないので、資金繰りとして一気に払わなきゃいけなくなる」
“食料品の消費税ゼロ”で一括納税に
現在飲食店は、客から受け取る10%の消費税から、仕入れにかかった8%の消費税分が控除され、引いた分の税額を納めています。
例えば税別1000円のオムライスの場合。食材の仕入れに500円かかったとすると、消費税はまず、その8%の「40円」、店がこれを負担します。
一方売り上げでは、10%の100円を客から受け取ります。店が国に納める消費税は、売り上げ分の100円から仕入れで負担した40円を引いた「60円」。こうして、このオムライスには合わせて100円の消費税がかかります。
一方、食料品の消費税がゼロになると、食材の仕入れ分はゼロ。売り上げに対する10%・100円を一括で国に納税することに。
「お金が残ってると勘違いする可能性も」
途中の税負担がなくなることで資金に余裕が生まれますが、それを商品開発などに使ってしまい、最後に一括で納税できない恐れもあるというのです。
(加藤社長)
「毎月の売り上げとかと一緒にごちゃごちゃになっちゃって、計算をちゃんとしていないと、お金が残ってるじゃんって勘違いする可能性はある。いざ納税の時には、売り上げ分(の消費税)全部納税しないといけない。お金がないとか、いつもより多いとかいう現象が確実に起こるので、(納税の)シミュレーションをしっかりしておかないと」
一括で納税できない場合、黒字倒産の懸念も。さらに、仕入れ先が消費税分を値下げしない可能性もあり、そうなったら単純に利益が減ることになります。
(加藤社長)
「(消費税分を)下げない仕入れ先もいっぱいあると思う。値上げが来ているから、本体価格がそのまま維持される可能性もある」
Q.仕入れ業者が8%分下げてくれなかったら?
「困っちゃうというか、嫌ですね。だったら(減税を)やらない方がいい」
専門家に聞く「一番いい物価高対策は?」
金融に詳しい、名古屋大学の家森信善名誉教授は…
(名古屋大学 家森信善名誉教授)
Q.一番いい物価高対策は何?
「物価高対策となると、今苦しんでいる人を助けるもの。消費税を下げるのは1年以上先にしかできない。現金給付などターゲットを絞って支給していく方が、迅速で予算規模も小さくて済む」
Q.“食品消費税ゼロ”をなぜ政府は選択したのか?
「正直よくわからないが、元々自民党はそうではなかった。政治的な判断からだと思うが、国民全体へ負担軽減のイメージを与えることには繋がると思う」
Q.いわゆる選挙対策だった?
「そういう要素があるのではないかと思います」
物価高が止まらない中、国が検討を始めた消費減税。本当に必要な政策は何なのか。私たちは、注意深く議論を見守る必要があります。
CBCテレビ「チャント!」2026年3月3日放送より


