小中学生つなぐアプリを運営…『13歳起業家』が目指す好きを通じてつながれる場所 きっかけは“1つのニュース”

 中学1年生で会社を立ち上げた起業家・飯尾龍成さん(13)。学校や地域を超えて“好きなこと”でつながるアプリ「Beyond the Box」で、子供たちの居場所作りに取り組んでいる。

■中1で会社を立ち上げた“13歳の起業家”

 名古屋市昭和区にあるスタートアップ企業の拠点「ステーションAi」。今年3月に開かれた事業アイデアを競う大会で、堂々とプレゼンする少年がいた。 飯尾龍成(いいお・りゅうぜ)さん、13歳。2025年、中学1年生で「Beyond the Box」という会社を立ち上げた“中学生起業家”だ。 飯尾さん: 「きょうもどこかで家から出られない子が日本にはいます。僕らはその子たちのためにも、この事業を必ず届けたい」

飯尾さんが作るのは、コミュニティアプリ「Beyond the Box」。 70種類以上ある“タグ”から好きなものを選んで小中学生が気の合う仲間を見つけられるアプリで、オンラインだけでなく、水鉄砲大会などリアルで会うこともできるイベントを開くなど、“好きを通じてつながれる”手だすけをしている。 飯尾さん: 「日本全国の小中学生が、趣味や好きなことでオンラインでつながって出会いを広げるコミュニティ」

この日のイベントは、外国人講師・ジェレミーさんを招いたオンライン英語教室。飯尾さんは小学4年の時にマルタに留学している。ジェレミーさんは当時の語学学校の先生で、この“つながり”から飯尾さんに力を貸してくれていた。 飯尾さんは「もともと見ている幅が狭かったが、留学して一気に世界が広がった」と話す。

■N中で学ぶなかで…生まれた“つながり”

 会社を経営する傍ら、中学2年生の飯尾さんが通っているのが、全国最大の通信制高校であるN高等学校の中等部、通称「N中」だ。 地元・愛西市の中学校に在籍しながら、週3日、N中で学んでいる。 飯尾さん: 「僕にとってN中の方が環境がいい。起業に関してはプレゼンの場が多い。1回N中に見学に行って、絶対ここ行きたいという気になった」

小学校の時に、“授業”と“自分が学びたいこと”にギャップを感じ始めた飯尾さん。5年生でオンラインスクールへ通い、N中への進学を決めた。 学校法人角川ドワンゴ学園 N中等部 安陪由香里さん: 「視点を変えて提案し、合意形成を取るのがすごく早いなと思います。やってみたいことをまずやってみるということができる環境」 ランチタイムでは、大好きな鉄道トークで友達と盛り上がる。

友人: 「京阪電気鉄道 嫌い?」 飯尾さん: 「(快速特急)洛楽が好きだから好き」 友人: 「さすがお主分かっておられる」 ここでも“人とのつながり”が生まれ、友達が事業に協力してくれることになった。

飯尾さん: 「僕は彼とずっと仲良くなりたいと思っていた」 友人: 「旅行に2人で行こうという話になって、しまかぜに乗ったら、鉄道大好きみたいな感じになって」

■「Beyond the Box」に込めた願い

 目標に向かって邁進する飯尾さん。「Beyond the Box」立ち上げのきっかけとなったのは、偶然目にした“あるニュース”だった。 飯尾さん: 「学校でのいじめが理由で、僕の好きな電車で(子供が)命を絶つという事件があった。悲しいが大きかったですね。悔しいというのもありました。趣味や好きなことでつながれれば、そういう問題を解決できるんじゃないかって。“箱”っていうのが、自分のとどまっている地域とか、自分の見える世界とか、そこから一気に飛び出して広い世界を見ようという意味が込められている」

住んでいる地域や学校の“箱”を超えて、自由につながれたら…。会社名にもなっている「Beyond the Box」に込めた願いだ。 「Beyond the Box」を利用している小学6年の男の子がいる。疎外感を抱いたことで小学校に行かなくなったというが、アプリを使い始めてある変化があった。 利用者(小学6年): 「今は学校に楽しくいけるようになっています。嫌なことがあって居場所がなくても、ここは第3の居場所としてあるので、気持ち的には楽になります。例えば(ゲームイベントで)『これゲットしたよ』みたいな、小さい会話ができるところが楽しいです」

“箱”だけではない、居場所。 「Beyond the Box」は2025年度、愛知県のスタートアップ創業支援の対象に選ばれたほか、東京で開かれたコンテストで“奨励賞”を受賞。その補助金や助成金で、アプリの改善や運用をできるようになった。 中学生ながら起業を決めた息子に、母・まいこさんは…。

母・まいこさん: 「好奇心をとにかく伸ばす、色んなものを見せるだけ見せてあげて、そこから選ぶのは本人だと思うので。なんでもやってみたらとは思います。1人でスマホ見ているのも幸せかもしれないし、ゲームするのも楽しいかもしれないけど、もしもっと色んな人に出会いたいとかわくわくしたいとか色んな場所行ってみたいという気持ちがあるんだったら、自分をもっと成長させたらとは思う」

■「趣味や好きなことでつながれる社会を作りたい」

 4月、飯尾さんは小牧市の児童館「こまきこども未来館」を訪れていた。飯尾さんの事業に、施設を活用できることになったためだ。 この“つながり”も、1カ月前の「ステーションAi」での名刺交換から。プレゼンを見た職員の前田さんたちが飯尾さんに声をかけていた。

こまきこども未来館職員 古谷萌子さん: 「未来館が考えている子供たちの居場所になることや、好きでつながることに対して、飯尾君がやられている理想像と我々が普段やっていることが近かったので、何か一緒にできるかもと」 人との“つながり”を生かして事業を拡大する。まさに起業家の飯尾さん。実は、事前にこっそり施設を訪れ視察していて、さっそく用意してきたイベントを提案する。 飯尾さん: 「マイクラの学年対抗で、誰がよりよい建築を先に作れるか。これは審査制でやろうと思っていて」 仮想空間に建物や街などをつくる、大人気ゲーム『マインクラフト』未来館でも多くの子供たちが楽しんでいて、建築の完成度を競い合うコンテストを思いついた。

利用者(小6): 「テーマに沿ったものを作るのもいい。例えば(テーマが)「未来世界」だと、未来の自動車とかをイメージしてみてもいいと思う」 飯尾さん: 「めちゃくちゃ参考になります」 利用者(小6): 「ご協力できることがあれば」 ここでも新たな“つながり”が生まれた。

この日は、スポーツ大会やワールドカップ応援企画など、イベントを12個も提案した。“つながり”を生かし、子どもたちの“つながり”を生みだす中学生起業家。その未来は…。 飯尾さん: 「大人だけじゃなくて頼れる子供もいるってことも、相談に乗れる子供もいるってことを知ってもらえたらうれしい。全国で学校や地域関係なく、趣味や好きなことでつながれる社会を作りたいです」 2026年5月22日放送

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