妊婦死亡事故後に生まれた子どもは意識不明 父親「胎児も被害者」訴えて名古屋地検に11万人の署名提出

事故当時は胎児 その後生まれた子どもも被害者 遺族訴えて署名提出
目を閉じたままの研谷日七未ちゃんです。脳に重度の障害があり、意識はなく人工呼吸器が外せません。母親の研谷沙也香さんは、交通事故で亡くなりました。
沙也香さんは、2025年5月、愛知県一宮市の道路を歩いていたところを、一宮市の無職・児野尚子被告が運転する乗用車にはねられ、2日後に亡くなりました。亡くなった沙也香さんのお腹には赤ちゃんがいました。搬送先の病院で、帝王切開で日七未ちゃんが生まれました。
日七未ちゃんの父 研谷友太さん:
「今は人工呼吸器をずっと着けている状態身体も自分で動かせないからストレッチをするとか体位を変えるとかをこまめにしてあげないといけない状態です」
過失運転致死の罪に問われている児野被告の初公判が2日、開かれました。初公判で児野被告は「私が沙也香さんの命を奪い、日七未さんに大きな障害を負わせてしまいました」と起訴内容を認めました。
起訴状の中で、被害者の名前として書かれていたのは、沙也香さんの名前だけで、日七未ちゃんの名前はありませんでした。
夫の友太さんは、沙也香さんのお腹の中にいた日七未ちゃんへの加害行為に対しても過失運転傷害での起訴を求めています。オンラインで11万人を超える署名を集め、2日名古屋地検に提出しました。
日七未ちゃんの父 研谷友太さん:
「妻と娘のために何かできないかというところから始めた胎児に対しての法的責任など、今まで議論されていなかったことが(多くの人に)関心を持っていただくきっかけになったと思うこれを提出することによって民意というのが(検察に)表せる問題提起になると思うのでそういった意味もこめて続けていきたいと思う」
胎児はなぜ被害者とされていないのか専門家の見解は
なぜ裁判で日七未ちゃんは、被害者とされていないのか。それは刑法では、胎児はまだ生まれていないため、母体の一部とされ、「人」とはみなされていないからです。
これについて交通事故に詳しい「しまかぜ」法律事務所の井上昌哉弁護士に聞きました。
へその緒で母親とつながっている胎児は、今の刑法では母体として認識されているとした上で、「胎児を刑法で人と認めた場合、人工妊娠中絶を行うことで胎児への殺人罪が成立してしまう」と指摘。
その上で、「現状の刑法では胎児への加害行為で、被告を罪に問うことは難しい」との見解でした。