
遠征のキャンセル経験5人に1人「推し活」に特化した保険、誕生背景は推しに会えない悲しみと金銭的負担

日々の暮らしに潤いをもたらす「推し活」。推しに会うために国内、さらに海外まで追いかける人も多くなっています。でも、せっかくの遠征が公演キャンセル、天候不良、急な病気など予期せぬトラブルに襲われるもの。キャンセル料が戻ってくる方法が今、話題となっています。

名古屋市在住の40代女性。去年9月末にベトナムで行われる予定だった韓国の推し俳優のファンミーティングが9月3日に中止発表されたという経験をしました。
ファンミーティングのチケット代は返金されたものの、飛行機代は全額戻らなかったといいます。女性は飛行機代が戻らないならばと、ひとり観光することに変更。女性のファン仲間は、飛行機をキャンセルをしてかなり損をしたそうです。
愛知県在住の60代の女性は、去年の夏に台風の影響で新幹線が動かず、横浜で開催されるアイスショーに参加できなかったいいます。
新幹線代は返金されたものの、アイスショーのチケット代は返金されなかったという経験をしたそうです。
同様の経験をした方の話がSNSでも寄せられ「万が一の時のために『キャンセル保険』というものに加入した」という投稿を目にすることも増えてきました。
遠征がキャンセルになってしまった経験は5人に1人

「推し活キャンセル保険」を販売するMysurance(マイシュアランス)が、推し活支援のプラットフォーム事業者「Oshicoco」と実施した推し活層を対象としたアンケート調査によると、5人に1人が過去に遠征のキャンセルをした経験があり、そのうち3人に1人が3万円以上のキャンセル料(チケット代を除く宿泊費・交通費)を負担しているという結果が出ています。
推し活に特化した保険を開発した背景について、保険会社の担当者に聞きました。
「イベントの中止などにより遠征をキャンセルせざるを得なかった推し活層の悲痛な声は、今もSNSでシェアされ続けています。遠征のキャンセルによって、推しに会えない悲しみだけではなく、キャンセル料という金銭的な負担が重くのしかかっており、キャンセル保険を届けるべき推し活層に届けられていないということが分かったため、必要な商品を届けるために推し活キャンセル保険の開発に至りました」(Mysurance マーケティング部 和久田奈穂さん)
「推し活キャンセル保険」は「遠征」の費用が対象で、参加予定のイベントがなくなったことによるキャンセルの他に、Travelキャンセル保険と海外旅行キャンセル保険同様に、旅行者の急な発熱や交通機関の遅延によるキャンセルなど、幅広い補償内容を提供しているといいます。
手ごろな保険料で推し活に関する不安が解消できる

3月末から販売されている「推し活キャンセル保険」。SNSで予想を上回る反響があるといいます。
また、夏休み時期に多くのイベントが予定されているため、それに合わせた遠征が多く発生することから、これから契約件数が伸びていくことが予想されると話します。
実際に推し活イベントの中止で保険金が支払いされた事例は――
■国内遠征版(Travelキャンセル保険)
・歌劇団舞台公演(演者がコロナで中止)ツアー代金のキャンセル料15,945円
・男性アイドルグループコンサート(地震で中止)宿泊代金のキャンセル料20,700円
■海外遠征版(海外旅行キャンセル保険)
・タイ人俳優コンサートの中止(主催者都合で中止)航空券代金と宿泊代金のキャンセル料96,912円
・韓国人俳優のファンミーティング中止(主催者都合で中止)航空券代金と宿泊代金のキャンセル料247,196円
その他には、遠征に行く人の急な体調不良、交通機関の欠航などの理由による支払い事例が多いそうです。
支払い対象外となる事例もあるので注意

保険金の支払い対象外となる事例もあるので、事前に内容を十分確認するなど注意が必要です。
夏休み時期には、国内外問わず多くのイベントが予定されている方も多いはず。
推しのイベントが予定通り開催されることを願うことはもちろんですが、推し側の問題ではなく、自身の都合(家族の病気など)で気になることがあれば保険を利用することもひとつの選択肢になるかもしれません。
(メ~テレ 杉浦佐和子)