全国「ワースト」記録し続ける“不名誉”な愛知県 今年は事故による死亡者が減少傾向、そのカギは

例年、全国的に多いとされている愛知県の交通事故死者数が今年は減少傾向にあります。その背景を探りました。
1日朝、愛知県庁前で行われたのは、年末恒例の交通安全県民運動の出発式です。
この時期は、1年を通じて日照時間が最も短いことや、忘年会などで飲酒の機会が増え、飲酒運転による交通事故の増加も懸念されることから、愛知県は、1日から10日まで交通安全を重点的に呼びかけます。
県内では、11月30日、豊田市で横断歩道を歩いていた75歳の男性が右折しようとしていた軽自動車にはねられ、死亡する事故がありました。
愛知県はかつて、事故による死亡者が全国で「ワースト」を記録し続ける“不名誉”な状況がありましたが今年は…。
11月30日時点で、県内の交通事故での死亡者数は99人と、前の年の同じ時期と比べて27人減っていて、全国ワースト7位になっています。
死亡者の中で最も多いのが高齢者ですが、前の年と比べて21人減と、減少幅も最も大きくなっています。
交通事故分析システムを活用 効果的な取り締まりを

死亡事故が減少していることについて、愛知県警は…。
「今年力を入れて取り組んでいる対策として、自転車を含めた車両の一時停止をしっかり行っていただくために、正しい一時停止の方法を交通安全教育や交通指導の取り締まり強化を通じて周知を図っていることと、ドライブレコーダーの交通事故映像を活用した交通安全教育。こうしたことが減少につながっているのではないか。」(愛知県警本部 交通総務課 山本清文さん)
車の性能が向上したことなど要因は様々ありますが、愛知県警は、車両の交通指導などターゲットやテーマを絞った取り締まりや啓発が事故減少の要因のひとつだとみています。
テーマを絞る際に大きなカギとなっているのは…。
「県警では交通事故の分析のシステムがあって、交通事故の発生状況をそれによって分析しています」(愛知県警 山本さん)
愛知県警が2015年に導入した交通事故分析のシステムは、2004年以降に起きた県内すべての交通事故の情報が入っていて、日付や時間帯、当時の状況などが詳しく検索できるように。
さらに、事故が起こりやすい地域に色付けすることで一目で危険なエリアかどうかわかる仕組みになっています。こうしたデータをもとに、現場の特色や傾向を踏まえた、効果的な取り締まりに活かす活動が成果につながりつつあるようです。
今年も残すところ、あと1カ月。事故が起きやすい時期だからこそ、愛知県警は注意喚起を一層強化する方針です。
「12月は最後の月なので、交通事故を1件でも少なくするために白バイなどの活動を強化して、県民が安全な交通行動をとれるように呼びかけていきたい」(愛知県警 山本さん)





