【東海4県企業・2025年度業績見通し】「増収増益」23.6%でコロナ禍以降で最低水準に　全国より厳しい見通し　トランプ関税への強い警戒感の表れか

帝国データバンクが東海4県（愛知・岐阜・三重・静岡）の企業を対象に実施した「2025年度の業績見通しに関する企業の意識調査」で、「増収増益」と回答した企業がコロナ禍以降で最低水準になっていたことがわかりました。トランプ関税などの影響により、東海地方の企業の業績見通しに慎重さが広がっています。

「増収増益」見込みが2年連続減少　大企業も先行き不透明感強まる

帝国データバンクの調査によると、東海4県で2025年度（2025年4月決算～2026年3月決算）に「増収増益」を見込む企業の割合は23.6%と2年連続で減少し、コロナ禍以降で最低水準となりました。前年調査から2.6ポイント落ち込む結果となっています。

「減収減益」を見込む企業も23.6%と2年連続で増加し、前年調査より0.2ポイント上昇しました。

全国との比較では、「増収増益」が1.0ポイント低く、「減収減益」は2.4ポイント高くなっていて、厳しい見通しとなっています。

業界別では、増収増益は「不動産」（29.3%）が最も高く、次いで「サービス」（28.6%）、「製造」（26.8%）となりました。一方で「減収減益」も「不動産」（31.7%）が最も多く、「建設」（29.8%）、「卸売」（27.4%）と続いています。

規模別では、大企業のみ「増収増益」（23.2%）が「減収減益」（21.5%）を上回りましたが、中小企業と小規模企業では「減収減益」が「増収増益」を上回る結果となりました。ただし、大企業の「増収増益」見込みも前年調査から11.3ポイントの大幅減となっていて、先行き不透明感が強まっているようです。

トランプ関税への警戒感高まる　「個人消費の回復」が上振れのカギか

業績見通しを上振れさせる材料としては、「個人消費の回復」（34.0%）が3年連続で最多となり、「所得の増加」（25.0%）、「原油・素材価格の動向」（23.7%）が続いています。

「減税」（16.3%）や財政・金融政策などの「経済政策の拡大」（13.6%）も上位に挙がっていて、個人消費を喚起する施策への期待感が高まっています。

一方、下振れ材料としては「人手不足の深刻化」（39.0%）が2年連続で最多となり、「原油・素材価格の動向」（34.4%）、「個人消費の一段の低迷」（34.3%）、「物価の上昇（インフレ）」（34.3%）がいずれも30％台となっています。特に「物価の上昇（インフレ）」は前回調査から12.4ポイント上昇していて、物価高の影響を懸念する声が増加しています。

また、東海地方は自動車関連企業をはじめ製造業が盛んなことから、「米国経済の悪化」が下振れ材料として急上昇していて、前年調査では17.1％でしたが、今年度は28.3％に。「中国経済の悪化」（23.5%）とともに、米中摩擦への警戒感が強まっています。

企業からは「トランプ関税の問題が最大の課題」（自動車駆動・操縦・制動装置製造）、「売り上げは前年並みだが、原料値上げと賃金を上げざるを得ない状況で利益が出るかどうかが心配」（食料・飲料卸）、「インバウンド需要に業績は依存している状態。インバウンドが業績を決めていると言っても良い」（洋品雑貨・小間物小売）といった声が寄せられています。

同社の業績見通しに関する企業の意識調査は、2009年3月以降、毎年実施していて今年で17回目。今回の調査期間は2025年3月17日から31日で、調査対象は東海4県に本社を置く2952社、回答率は40.2％だったということです。